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※全国保険医団体連合会では、下記の声明をマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:177KB])。

【声明】自衛隊の中東派兵に抗議し、中止を求める

2020年1月19日
全国保険医団体連合会
非核・平和部長 永瀬 勉

 

 安倍内閣は、昨年12月27日に中東地域への海上自衛隊の派兵を決定した。今年1月10日には、河野防衛大臣が、防衛省・自衛隊の幹部を集めて防衛会議を開き、護衛艦1隻と哨戒機2機の「派遣」を命令した。そして、哨戒機部隊は、翌11日に日本を出発し、今月20日から情報収集にあたり、護衛艦は、2月2日に日本を出港すると報じられている。
 政府は、「中東地域の日本関係船舶の航行の安全を確保する」ことを理由にした日本独自の活動を強調しているが、これは、米トランプ政権からイラン包囲網の「有志連合」に参加するように求められてきたことヘの対応であることは、だれの目にも明らかである。

 中東地域は、1月3日、国連憲章を無視した米軍の先制攻撃により、イラン革命防衛隊幹部がイラクの空港で殺害される事態が発生し、4日後の1月7日には、イランがイラク国内の米軍基地を空爆するという、きわめて深刻な緊張状態となっている。
 今、国際社会が望んでいるのは、2015年にかわされたイランと米国など6カ国とEUが結んだ「核合意」の確実な履行である。トランプ政権は、イラン核合意にただちに復帰すべきである。

 当面、イランと米国の全面的な衝突は回避されたと報じられているが、なお「一触即発」の状況には、変わりはない。
 こうした状況のもとで自衛隊の中東地域への派兵は無謀きわまりないものであり、自衛隊員の生命をも危険にさらすものである。安倍政権に対し、自衛隊派兵のただちに中止することを強く求める。

 そして、日本政府にいま求められているのは、「有志連合」への参加や自衛隊の派兵ではなく、憲法9条にもとづく平和外交で、中東和平へのイニシアティブを発揮すべきであり、さらに被爆国として核兵器廃絶の先頭に立つことである。
 先ごろ、アフガニスタンで銃弾に倒れた医師の中村哲氏は、かつて、日本の新テロ特措法改正を巡る国会の参考人陳述の際、「私たちが十数年間かけて営々と築いてきた日本に対する信頼感が、現実を基盤としないディスカッションによって、軍事的プレゼンスによって一挙に崩れ去るということはあり得る」「自衛隊派遣は現地の人道支援活動にとって有害無益」と発言している。安倍政権は、「平和の達成には軍事力ではなく、地域に溶け込んだ国際貢献である」という中村氏の言葉を今こそ重く受け止めるべきである。

 私たち全国保険医団体連合会は、国民の生命と健康を守る医師・歯科医師の立場から、自衛隊の中東派兵を即刻中止することを求めるものである。

以上