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※全国保険医団体連合会では、2020年1月25、26日に開催された第49回定期大会において下記の特別決議を採択し、マスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:113KB])。

【大会特別決議】金パラ「逆ザヤ」の即時解消を強く求める

 

 歯科治療に欠かすことのできない金属材料である金銀パラジウム合金(金パラ)の価格が高騰を続け、歯科医療機関での購入価格が保険償還価格を上回るいわゆる「逆ザヤ」が、歯科医療機関の経営と国民の口腔の健康を脅かしている。
 保団連は「金パラ『逆ザヤ』シミュレータ」により、歯科医療機関での実際の金パラ購入価格を調査し、金パラ「逆ザヤ」の実態を明らかにした。各月の金パラ購入価格平均(税込・30グラム、2020年1月26日時点)は、2019年9月の59,266円、10月63,965円、11月65,595円、12月67,750円、2020年1月には75,420円となり、さらにその後も急騰を続けている。
 2019年9月時点の金パラの保険償還価格は1グラム1,458円(30グラムあたり43,740円)であった。同月の購入価格平均59,266円とは15,526円の乖離があり、購入価格の約26%が保険償還されず歯科医療機関の負担となっていた。2019年10月の価格改定により、保険償還価格は1,675円(30グラムあたり50,250円)に引き上げられた。しかし、乖離の解消とは程遠く、その後の購入価格上昇によるさらなる「逆ザヤ」拡大が、歯科医療機関の経営に重くのしかかっている。
 さらに追い打ちをかけるように、世界情勢の変動を受けた投機的な動きにより、2020年に入ってから数日のうちにパラジウム価格が急騰。また金の価格も上昇している。今後さらなる「逆ザヤ」の拡大が危惧される。
 低歯科診療報酬の下、ただでさえ厳しい経営を強いられている歯科医療機関にとって、これ以上の金パラ「逆ザヤ」による負担は耐えられない。現状を放置すれば、保険で良質な歯冠修復・欠損補綴治療の提供が継続できなくなり、ひいては、国民が受けられる歯科医療の質の確保も困難になる。
 歯科医療における金パラ「逆ザヤ」の即時解消を、政府・厚労省に強く求めるものである。

2020年1月26日
全国保険医団体連合会 第49回定期大会