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※金パラ高騰への厚労省の対応に対し、全国保険医団体連合会では下記の談話をマスコミ各社に送付しました(PDF版はこちら[PDF:90KB]

【談話】金パラ「逆ザヤ」抜本解決には程遠い改正
引き続き制度改善を求める

2020年3月30日
全国保険医団体連合会
歯科代表 宇佐美 宏
副会長(社保・審査対策部担当) 田辺 隆

 

 中医協は 2020年3月25日に開催された第452回総会で、「歯科用金銀パラジウム合金の高騰への対応について」を承認した。
 保団連は、診療報酬改定にあたって歯科用金銀パラジウム合金(金パラ)の保険償還価格と市場価格の乖離を最小限とするための制度改善を求めてきた。また、「金パラ『逆ザヤ』シミュレータ」調査で実勢価格を明らかにするとともに、会員署名などで全国の歯科医師の切実な声を集め、緊急的な「逆ザヤ」解消を強く求めてきた。今次の対応は、歯科医療現場の切実な要求と運動が、政府・厚労省を動かしたものである。
 対応の内容としては、現行の随時改定の仕組みは変更せず、激変時の対応が追加された。価格改定後 6か月ごとのスパンで5%を超える価格変動があった場合に価格を改定する従来の改定を「随時改定T」とし、価格改定後3か月のスパンで15%を超える価格変動があった場合に価格を改定する「随時改定U」が新たに設けられた。
 「随時改定U」が実施されれば、市場価格と保険償還価格の大幅な乖離は緩和される。しかし、3か月で15%超という非常に大きな変動幅が設定されており、「随時改定U」が実施される状況は極めて限定的になると考えられる。あくまで異常事態に対応する緩和措置であり、一定の変動幅内で「逆ザヤ」が発生し続ける可能性はなくならない。
 随時改定については、改定実施の判断が合金の市場価格ではなく素材となる金属の市場価格の変動を参照して行われること、価格変動の参照時期と価格改定の実施時期との間に大幅に価格が変動しうるタイムラグがあることなど、制度が抱えるそもそもの問題点を解消することが必要である。激変への対応に厚労省が動いたことは評価できるが、基本的な仕組みが見直されない以上、抜本的な問題解決にはならない。
 また、「金パラ」価格の高騰は患者負担の高額化の一因ともなっており、さらなる受診抑制の拡大も懸念される。価格改定の仕組みの改善と同時に、患者窓口負担の軽減も強く求められる。
 歯科医院が安心して良質な歯冠修復・欠損補綴治療を提供し、誰もがお金の心配なく治療を受けることができるよう、引き続き歯科用貴金属の価格改定の抜本改善を求める。

以上