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※金パラ高騰への厚労省の対応に対し、全国保険医団体連合会では下記の談話をマスコミ各社に送付しました(PDF版はこちら[PDF:134KB]

【談話】歯科技工問題解決には
歯科診療報酬引き上げと取引ルール改善こそ必要

―「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」報告書の公表にあたって


2020年4月6日
全国保険医団体連合会
政策部長(歯科) 池 潤

 

 厚労省は「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」(以下「検討会」)の報告書を公表した[PDF]。保団連は長年にわたり、歯科技工士の就労実態が非常に厳しく、志望者減や離職者増などが進んでいる状況について、問題を指摘し改善を求めてきた。その中で厚労省が「検討会」を設置し、歯科技工をめぐる問題解決に取り組む姿勢を見せたこと自体は評価したい。
 「検討会」報告書は、歯科技工士の養成、確保、業務等の3点について現状の課題と今後の方向性を示した。歯科技工の今後の方向性として、デジタル技術を活用したより効率的で質の高い歯科技工の実現や、臨床現場におけるチェアサイドでの業務拡大などを念頭に置きつつ、それに見合う教育の充実や業務の効率化などの課題を示している。
 しかし、報告書は歯科技工問題の根本である歯科技工料の問題に一切踏み込んでいない。歯科技工士の厳しい状況の根源は、低歯科技工料のために歯科技工士が技術と労働に見合った対価を得られていない点にあり、その低歯科技工料の背景には低歯科診療報酬がある。歯科医院の経営状況が年々悪化する中では、適正な歯科技工料を払うに払えない実態がある。
 報告書には個別には前向きな内容も含まれるが、前提である歯科技工士の人間らしい労働や生活を保障するための経済的条件をどう作るかという視点が欠落している。診療報酬上での歯科医師・歯科技工士の技術料の適正な評価や、「7:3」に準じた取引ルールの確立など歯科技工取引の改善などの議論を一貫して回避しており、問題の本質から目を背ける決定的な問題を抱えていると指摘せざるを得ない。歯科医療費の総枠を拡大し、歯冠修復・欠損補綴を中心とした技術料評価を抜本的に引き上げるとともに、歯科技工取引のルールを確立し、歯科技工料の改善を進めることが歯科技工問題の解決には不可欠である。
 報告書も指摘する通り、超高齢社会における歯科医療需要に対し、より質の高い歯科医療提供を実現していくために、歯科技工士の養成及び確保は喫緊の課題である。保団連は2019年に「歯科技工料問題に対する保団連の要求」を策定した。今後も歯科技工士とともに、歯科技工士の現状の抜本改善のため、歯科診療報酬の大幅な引き上げと、歯科技工の技術料が確実に歯科技工士に手渡るための取引ルールの確立を引き続き求めていく。

以上