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※全国保険医団体連合会では、新型コロナウイルス感染拡大のもとで、下記の声明を厚生労働省、国会議員及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:129KB]

【声明】新型コロナウイルスの感染拡大に対し
政府・厚労省に歯科医業の継続と国民の口腔の健康確保のための
責任ある対応を求める

2020年4月22日
全国保険医団体連合会
歯科代表 宇佐美 宏

 

 厚労省は4月6日に「歯科医療機関における新型コロナウイルスの感染拡大防止のための院内感染対策について」とした事務連絡を発出。歯科医院における標準予防策の徹底とともに、歯科診療実施上の留意点を示した。
 社会全体で新型コロナウイルスの感染拡大を防止することが求められており、歯科医院においても十分な感染対策の実施、緊急性に鑑みた治療や管理の計画策定等、患者と歯科医療従事者を感染から守ることに十分に留意しながら診療に取り組んでいるところである。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止が一義的な課題となる現状においても、歯科医療の役割は重要である。急性症状への対応はもちろん、口腔ケアの徹底は感染防止対策の観点からも非常に有用であり、国民の健康を守るために歯科医療の提供は欠かせない。
 現在、歯科医療従事者は新型コロナウイルスへの感染リスクに晒されながら診療している。また、外出自粛による患者減に加え、事務連絡が示すような感染防止を考慮した治療の延期等による収入減は、ただでさえ低歯科診療報酬の下で厳しい経営を強いられている歯科医院にとって、耐えきれない経営リスクとなる。さらに、感染防止のためには診療の縮小や休診も余儀なくされかねない状況である。つまり、歯科医師は感染への不安と、経営の不安との二重の不安を抱えながら日常診療にあたっている。
 こうした中、厚労省の事務連絡は、治療の延期などを「歯科医師の判断」で考慮するよう求めている。経営上の深刻な懸念を放置して、一方的に歯科医師の責任での判断を求める厚労省の姿勢には問題がある。歯科医師に判断を求めるのであれば、判断に伴うリスクに対して国が責任をもって補償策を示すことが必要である。
 同時に、歯科医院での治療の延期等は歯科技工取引の減少を意味し、歯科技工所の経営難にも直結する。これは歯科技工所の経営努力等では決して解決しえないものである。歯科技工所の自己責任に任せては日本の歯科技工の危機を加速することになる。歯科医院とともに、歯科技工所に対する特段の補償策が不可欠である。
 歯科医療従事者が少しでも安心して歯科医療を提供できる環境を作り、歯科医療が患者・国民の命と健康を守る役割を十分に発揮できるようにすることが、政府・厚労省の責務である。
 マスクをはじめ感染防護に必要な資材の安定供給や対策経費の十分な補填を行うとともに、患者減少や休診等での減収により歯科医院や歯科技工所の経営が危ぶまれることのないよう、休業補償等の手立てを具体的に示すことが強く求められるものである。

以上