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※全国保険医団体連合会では、新型コロナウイルス感染拡大のもとで、下記の声明を総理、財務大臣、厚労大臣及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:206KB]

【要請書】国民の命と健康を守るため、
医科・歯科医療供給体制の継続的確保対策を求める緊急要請

2020年5月1日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 

 新型コロナウイルス感染症対策に対するご尽力に敬意を表します。
 しかし、新型コロナウイルス感染症患者の入院治療を担う病院では、人的、物的、経済的に大きな負担を強いられ、「医療崩壊」の危機が差し迫っています。
 また、一般病院や医科・歯科診療所においても、新型コロナウイルス感染症拡大阻止に向けた対策の強化を行いながら、日常診療に取り組んでいますが、マスクや消毒液をはじめとした感染防御具・衛生材料等の不足で、対応は困難を極めています。
 こうした状況に加えて、受診患者が大幅に減少するとともに健診などは中止せざるをえず、医業収入は大幅に減収となっており、医療機関の経営に重大で深刻な影響が出ています。このままでは廃業を余儀なくされる医科・歯科医療機関が出てきます。
 医科・歯科医療機関は、国民の命と健康を守る重要な社会資源です。
 直ちに下記事項の実現を図られるよう、強く要望いたします。

(医科・歯科医療機関の経営破綻阻止に向けた緊急対策)

一、 医科・歯科医療機関が経営破綻を起こさないよう、減収分を全額補填すること。希望する医療機関には、前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求等を認めること。
一、 新規開設医療機関については、赤字分を補填する特例助成を行うこと。
一、 医療機関を受診した患者が、新型コロナウイルス感染者であることが判明し、診療を休止又は縮小せざるを得なくなった場合の損失を補填すること。
一、 従業員に支払った休業手当の助成率を、一律10/10とすること。
一、 福祉医療機構の医療貸付事業や日本政策金融公庫貸付などを拡充し、使途の制限を設けず、無利子かつ10年以上の返済猶予期間を設定した特例貸付を行うこと。手続きを迅速化すること。
一、 家賃について、日本政策金融公庫が家賃を肩代わりし、支払いを猶予すること。借入金の返済猶予措置をとること。

 

(一般診療継続のための緊急対策)

一、 公費負担により、医科・歯科医療機関のすべての職員について、新型コロナウイルス検査を、定期的に実施できるようにすること。
一、 公費負担により、すべての入院患者について、PCR検査の実施と検査結果が判明するまでの個室処遇が実施できるようにすること。
一、 新型コロナウイルス感染症拡大によって施設基準や研修要件が満たせない事態が発生していることから、すべての施設基準及び研修要件について、別に厚生労働大臣が定めるまでの間は、要件を満たしているものとして取り扱うこと。
一、 医療用マスク、消毒液、ディスポーザブルのガウン、ゴーグルやフェイスシールド、手袋などの確保を国・自治体として行うこと。

 

(患者の医療確保)

一、 低所得者及び収入が減少した世帯の医療保険の保険料・患者負担の徴収を直ちに猶予し、一定所得以下については免除すること。
一、 通常の国保証をすべての加入者に届け、国保資格証明書の交付を止めること。
一、 無保険者をなくすこと。当面無保険者であっても新型コロナウイルス検査や通常の医療が受けられるようにし、受療案内を徹底すること。

 

(新型コロナウイルス感染症患者対策)

一、 新型コロナウイルス検査の抜本的な改善を行うこと。
@ PCR検査実施可能件数の抜本的な拡大を図るとともに、医師の判断のもと迅速に実施できるようにすること。
A 発熱外来設置やPCR検査センター運営費用の全額を国が負担すること。また検体採取に必要な感染防御具・衛生材料等の確保を国・自治体として行うこと。
B 新型コロナウイルス抗原検査・抗体検査についても早急に保険導入・公費負担対象とし、精度向上を図ること。
一、 新型コロナウイルス感染症患者の入院治療を担う病院への十分な手当てを行うこと。
@ 人員配置及び設備配置に見合って、診療報酬の更なる引き上げを行うこと。
A 新型コロナウイルス感染症患者の治療・看護に必要な感染防御具・衛生材料等の確保を国・自治体として行うこと。
B 空床確保に対する補填を行うこと。
一、 治療薬・ワクチン開発を国として責任をもってすすめること。

(感染症対策の抜本的強化)

一、 病院の再編・統合計画、地域医療構想に基づく急性期病床を中心とする病床削減は直ちに中止すること。地域医療構想を前提とした医師・看護師需給計画を抜本的に見直すこと。
一、 保健所数の拡大、機能の強化を行うこと。
一、 日本においてもCDCを創設し、感染症に対応できる仕組みを構築すること。

以上