※全国保険医団体連合会では、下記の声明を全国会議員及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:174KB])
【声明】診療報酬改定の説明責任が果たされない中
実施を強行した政府・厚生労働省の対応に強く抗議する
2020年5月24日
全国保険医団体連合会第5回理事会
ここ数回の診療報酬改定で、医療機関への改定内容の周知が不十分なまま4月から新点数が適用され、同時に膨大な疑義解釈で算定方法の取扱いや修正が示されることが常態化しているため、改定の度に医療現場は混乱する事態となっている。そのため保団連は、周知期間の確保を求めて改定延期を要望してきた。
上記に加え今次改定は新型コロナウイルス感染症の全国的な拡大によりその様相が一変する事態となった。医療機関は患者・医療従事者への感染防御のため、国や政府としてのマスクや感染防御用具等、衛生資材の安定供給もない中、過酷な診療業務に忙殺させられている。さらにその渦中で、診療報酬の臨時的取扱いの算定対応で大いに混乱する事態となった。
このような中で厚生労働省は、感染拡大を防止する観点から、改定実施に必要な改定説明会や、各地の集団指導(改定説明会)をいち早く中止したが、改定そのものは延期しなかったため、この時点で国・政府・厚生労働省としての説明責任が果たされない事態となった。3月末にはA4・262ページに及ぶ訂正事務連絡を発出、その中には基本点数の誤りまで含まれている。今次改定がいかに膨大で無理押しの改定だったかを示すものだ。さらに膨大に増えたレセプト記載事項による請求対応について、「この事態の中で5月の連休返上で請求事務作業を行わせるのか」との怒りの声が上がる中で、何らの措置なく強行されたのも問題である。
圧倒的に周知が不足する中、例えば今次改定によりB001-2小児科外来診療料の届出が必要となったが、届出していない医療機関への返戻が相次いでおり、「知らずに届出できなかった」などとの悲鳴に近い問い合わせが多数寄せられている。小児科外来診療料は包括点数であり、返戻となれば新型コロナウイルス感染症の影響に加えて深刻な経済的打撃となることは明らかである。 患者、国民の命と健康を守ることを第一に、困難な中で奮闘する医療機関の努力に何ら応えることなく、責任だけを押し付けて顧みない政府・厚生労働省に怒りを込めて抗議する。
以上