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※全国保険医団体連合会では、下記の意見書を厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:296KB]

【意見書】子宮頸がん撲滅を目指す取り組み強化を求める意見書

2020年7月7日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 日本において子宮頸がん罹患者は年間1万人を超え、子宮頸がんによる死亡者は約2,800人といわれています。
 子宮頸がんにならないこと、仮に子宮頸がんになっても早期に発見することは大変重要です。しかし、日本における子宮頸がん検診は、42.4%(平成27〜28年)です。
 また、子宮頸がんの一次予防として2013年4月からHPVワクチンの予防接種が予防接種法の定期接種化されましたが、HPVワクチン接種後に重い副反応を疑う症状の報告が相次いだため、同年6月には厚生労働省から積極的な接種勧奨の中止が勧告されました。
 同勧告では「速やかに専門家による評価を行い、積極的な勧奨の再開の是非を改めて判断する」とされていましたが、未だに方針が示されていません。この結果、日本におけるHPVワクチンの接種率は、定期接種であるにもかかわらず、1%未満となっており、HPVワクチンが定期接種であることも、さらにはHPVワクチンの存在すらも知らない人が増えています。
 こうしたことから、私たちは子宮頸がん撲滅を目指し、下記の取り組みを求めます。

一、 子宮頸がん検診について、他の検診とともに受診率の向上を図ること。
@ 子宮頸がんに対する知識と子宮頸がん検診の広報をさらに強めること。
A 子宮頸がん検診費用の完全無料化、検診受診のための交通費等の補助を行うこと。
一、 HPVワクチンについて、次の対策を行うこと。
@ HPVワクチンに関するWHOポジションペーパーや、HPVワクチンが定期接種であること、子宮頸がん予防に対する効果を含め、HPVワクチンの有効性と安全性等についての正しい知識の普及に積極的に取り組むこと。
A HPVワクチンに対する専門家による評価を速やかに行うこと。
B 「市町村長は、接種の積極的な勧奨とならないよう留意すること」とした、2013年6月14日付「ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告)」を撤回すること。
C 自治体に対して、定期接種を勧奨する義務があること再認識させ、周知に努めさせること。
一、 HPVワクチン接種後に重い副反応を疑う症状を有する方々に対する十分な医療ケアを行うこと。特に患者も医療機関も孤立させない診療体制を構築すること。

以上