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※全国保険医団体連合会では、あずみの里の高裁無罪判決について、東京高検が上告しないよう求める会長声明を発表し、マスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:131KB]

【声明】東京高等裁判所の無罪判決を真摯に受け止め、
長野・特養あずみの里「業務上過失致死」事件の上告を
断念するよう強く求める

2020年8月4日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 7月28日、東京高等裁判所第6刑事部は、長野・特養あずみの里「業務上過失致死」事件(平成31年(う)第791号)の控訴審において、一審有罪判決を破棄し、被告の准看護師に無罪判決を言い渡しました。
 東京高裁判決は、亡くなった利用者Aさんの隣で全介助が必要な方の介護をしていた被告に、「女性の死亡を予見できる可能性は相当に低」く、「間食の形態を確認せず本件ドーナツを提供したことが刑法上の注意義務に反するとは言えない」として、一審判決の誤りを厳しく指摘しました。
 この高裁による無罪判決には、介護関係者から「高齢者の尊厳と人間性を尊重した介護の未来に道を開くもの」として歓迎の声が寄せられています。また、多くの新聞の社説やマスコミ報道は、今回の無罪判決を高く評価しています。
 そもそも本件は、介護施設で起きた利用者の突発的な異変について充分な医学的検討も行わず、刑事事件として起訴した前代未聞の事件です。Aさんの死因は、窒息死でなく脳梗塞であることは弁護団が提出した専門医の意見書で明らかです。
 警察は、亡くなったAさんの死因について医学的な検討をすることもなく、当日の職員の動きや利用者の状況などについての検証も不十分なまま、見込み捜査で立件したものです。そして、警察の杜撰な捜査をチェックすべき検察も安易に起訴しました。検察は、本件での捜査、公判活動こそ反省すべきです。
 私たちは、東京高等検察庁が無罪判決を真摯に受け止め、いたずらに上告することなく、判決を確定させることを望みます。また、東京高裁判決が、弁護団の死因についての詳細な主張立証を尽くす努力を認めながらも、被告が起訴されてから既に5年以上が経過しており、被告の行為と被害者の死との間の因果関係等の検討に時間を費やすのは相当でないとした配慮を十分に理解し、潔く判決に従うことを強く求めます。

以上

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