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※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を発表し、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:167KB]

【要望書】難病医療費助成制度の改善を求める要望書

2020年9月14日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
地域医療対策部医科部長 中島 幸裕

 

 前略 国民医療の確保に対するご尽力に敬意を表します。
 さて、2014年5月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」が成立し、2015年1月から新たな難病医療費助成制度が施行されました。
 これによって難病医療費助成の対象となる疾病が大幅に拡大され、レセプト単位だった月額自己負担上限が患者単位になる等の改善が行われましたが、その一方で、@自己負担限度額引き上げ、A自己負担のなかった市町村民税非課税者や重症患者への自己負担適用、B入院時食費の給付除外、C自己負担のなかった調剤報酬や訪問看護費の自己負担適用、D新たな重症度分類に該当しない場合に認定されない(いわゆる「軽度者」の対象除外)など制度の大幅な後退となっています。
 この結果、厚労省は対象疾病の増加によって医療費助成を受ける患者数が78万人(2011年度)から150万人(2015年度)に倍増すると試算していましたが、2015年度末の患者数は94万人であり、医療費助成の総事業費は1,820億円の試算に対して1,385億円でした。直近のデータである2018年度末では91万人に減少しています。
 新難病法が施行されて2020年1月で5年が経過しましたが、「施行後5年以内を目途に、施行状況を勘案して必要があれば見直しに向けた検討を行う」旨が規定されています。厚生労働省の専門部会である「難病対策委員会」において討議が行われ、1月31日に開催された委員会に「ワーキンググループのとりまとめ」が出されましたが、重症度基準の枠組みは維持される前提となっています。
 全ての疾病は早期発見・早期治療が重要です。
 早期からの治療を確保するためには、指定難病の医療費助成について重症度分類による選別(いわゆる「軽度者」の対象除外)をやめ、軽度者を含めた全ての指定難病患者を医療費助成の対象とすることが必要です。
 また、難病法第27条では、「国は、難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保を図るための基盤となる難病の発病の機構、診断及び治療方法に関する調査及び研究を推進する」と定めていますが、実際の制度は不十分です。
 全国保険医団体連合会は、地域医療を担う保険医・歯科保険医の団体として、難病の方が費用の心配なく医療を受けられるよう、下記事項の実現を求めるものです。

一、

軽度者を含めた全ての指定難病患者を医療費助成の対象とすること。

一、

患者数を理由にした対象疾患外しを行わないこと。

一、

市町村民税非課税者、重症患者の自己負担をなくすこと。調剤薬局の薬代や訪問看護費の自己負担をなくすこと。入院時食費の給付外しをやめ自己負担限度額に含めること。

一、

月額自己負担上限は患者単位とし限度額を大幅に引き下げること。

一、

難病医療費助成(小児慢性特定疾患を含む)にあたって必要な臨床調査個人票(診断書)の料金を補填する制度を創設し、新規認定及び更新認定時に公費助成を行うこと。

以上

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