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※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を発表し、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:181KB]

【要望書】新型コロナウイルスの影響下で
国民の口腔の健康と歯科医療提供を守るための要望書

2020年10月5日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 貴職におかれましては、国民の生命と暮らしを守るため、日夜国政の重責を果たされていることに心より敬意を表します。
 本会は、医師・歯科医師10万7,000人(うち、歯科医師4万2,000人)で構成し、国民医療の向上と保険医の生活と権利を守るために活動している団体です。
 さて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、国民の口腔の健康と歯科医療提供体制の維持に重大な影響を及ぼしています。
 新型コロナ感染拡大の下で、感染防止対策を考慮せず「歯科治療はリスクが高い」とされ、さらに不急の歯科治療は延期すべきという厚労省の事務連絡が報道されたことにより、国民の中に歯科受診に対する強い不安が植えつけられました。歯科受診に対する過剰な警戒と受診抑制は、患者の口腔状態の悪化と、大幅な患者減による歯科医療機関の経営困難という状況を生み出しています。
 かねてより歯科医療機関は、低歯科医療費政策の下で厳しい経営を強いられています。医療経済実態調査で示されるように、平均的な歯科医療機関の損益差額は年々減少し、保険診療で経営が成り立たないという状況にあります。そこに新型コロナウイルスの感染拡大による影響が重なり、歯科医業の継続も困難という悲痛な声が多数上がっています。また、歯科技工所の窮状は歯科医院以上に深刻ですが、歯科技工所は医療関係の給付金や公的融資の対象からも外されています。このままでは、国民の健康を守る地域の歯科医療提供が崩壊しかねない状況です。
 口腔を健康に保つことは、感染症予防の観点からも重要です。影響が長期化する中、国民が安心して歯科を受診できるようにするとともに、歯科医療機関・歯科技工所の経営の安定を図ることが喫緊の課題です。下記事項の実現が図られますよう、強く要望いたします。

1.

厚生労働省は4月6日に発出した事務連絡「歯科医療機関における新型コロナウイルスの感染拡大防止のための院内感染対策について」を廃止した上で、必要な歯科受診を促す国民への発信を行うこと。

2.

新型コロナウイルスの影響下でも国民が安心して歯科を受診できるよう、以下の施策を行うこと。

@ 歯科治療を通じた新型コロナ感染例が報告されていないことを踏まえ、歯科治療における感染リスクを冷静に評価する調査・研究を行い、エビデンスに基づき歯科受診の安全性を発信すること。
A 歯科医療提供側が新型コロナウイルスに感染していないことを明確にするため、希望する歯科医療従事者には適時に新型コロナウイルス検査を公費で受診できるようにすること。
B マスクをはじめ感染防止対策に不可欠な物資の不足、価格の高騰が診療の継続を困難にしたことを踏まえ、医療・歯科医療提供に必要な感染防護具や薬品等が緊急時にも適切に供給されるようにすること。

3.

「コロナ禍」による収入減などによって受診が控えられることがないよう、窓口負担の減免を行うこと。また、保険料の支払いが困難な世帯には減免措置を講じ、資格証・短期証ではなく正規の保険証による受診を保障すること。

4.

「コロナ禍」による生活様式の変化や受診抑制等の影響により口腔の健康が損なわれることがないよう、すべての国民が歯科健診を受診できるようにすること。とりわけ、歯科健診が途切れがちとなる成人期の国民に対して、費用の補助等を伴う実効的な受診勧奨を行うこと。

5.

地域の歯科医療提供体制を守る国の責任において、歯科医療機関の経営の安定をはかること。4月、5月のような受診抑制による経営への影響が著しい月については、前年同月の診療報酬請求額との差額を補填するなど、減収補填策を実施すること。

6.

歯科技工所への減収補填策を実施すること。また、医療機関等を対象とした各種給付金等や融資制度などの対象に歯科技工所を加えること。

7.

すべての歯科医院が院内感染防止対策をさらに充実させることができるよう、施設基準による選別的な院内感染防止対策の評価をやめ、初・再診料の抜本的な引き上げをはかること。

8.

歯科医療費の総枠を拡大すること。

以上

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