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※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を発表し、総理、経済産業大臣及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:166KB]

【要望書】国と東京電力は、東京電力福島第一原発で発生した
汚染水を海洋放出しないよう求める

2020年10月23日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部部長
野本 哲夫

 

 東京電力福島第一原発で発生した汚染水を浄化処理した後の高濃度の放射性物質トリチウムを含む水の処分を巡り、政府は今月中にも関係閣僚による会議を開き、海洋放出処分の方針を決めると報道されています。

 2013年、福島第一原発の地上タンクから汚染水が漏洩した問題は、原発事故の国際評価尺度(INES)で「レベル3(重大な異常事象)」と評価されました。現在保管されている汚染水の7割以上に、トリチウムだけでなく、基準値を超えた多数の放射性核種が含まれており、海洋生物と人が暮らす自然環境に致命的な危険をもたらします。
 トリチウムの体内動態は水素と同じであり、トリチウムは水素として細胞の核に取り込まれることがわかっています。トリチウムの半減期は12.3年であり、リスクが無視できるレベルに低減するまでに 120 年以上かかるのです。

 地下水バイパスやサブドレン・地下水ドレンの排水濃度の運用基準を準用して汚染水放出を強行することは、「希釈を行わない」との運用基準に違反し、「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わ」ないと福島県漁連と東京電力が交わした約束にも違反します。
 全国漁業協同組合連合会始め、直接の害を被る関係者、地域住民はこぞって反対しています。漁業者は、現在も風評被害が固定化しています。本格操業を目前にしている地域の漁業に、加害者である国が、新たに加害することは許されません。

 1982年に採択された「国連海洋法条約」は、海洋汚染を防止し他国の海域を汚染しないこと、汚染によって他国に損害を生じさせないようすること、汚染を拡大させないための必要な措置をとることとしています。
 特に海洋放出は、日本が管轄する区域を超えての汚染の拡大にあたり、汚染水の放出を模索するのではなく、放出しないために行動することが求められています。放射性物質に汚染された水を海洋に放出しては、世界的な批判は免れません。
 本会は、いのちと健康を守る医師、歯科医師の団体として下記を求めます。

一、 東京電力福島第一原発で発生した汚染水の海洋放出は絶対に行わないこと、当面、陸上保管を継続し、国内外の英知を結集して解決をはかること。

以上

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