※全国保険医団体連合会では、下記の要請書を発表し、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:158KB]

【談話】介護報酬改定率等に関する談話

新型コロナウイルス感染症対策を強化するとともに、介護崩壊を食い止めるため、
国庫負担を拡充し、介護報酬の大幅引き上げを改めて求める

2020年12月17日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 2021年4月に実施される介護報酬の改定率について、12月17日に厚生労働省は、予算大臣折衝を踏まえ、+0.70%の改定率となったと発表した。
 しかし、この引き上げ幅では、厳しい経営状況におかれている介護事業所の経営改善には程遠く、かつ、必要とされる新型コロナウイルス感染症対策の強化、介護従事者の処遇改善にも全く不十分である。
 国の責務は、要支援・要介護状態とならないための施策を実施することはもちろん、要支援・要介護状態となっても、すべての国民が健康で文化的な生活を営むことができる環境を整備することである。
全国保険医団体連合会は、新型コロナウイルス感染症対策を強化し、介護崩壊を食い止め、介護従事者の処遇を改善するために、国庫負担を拡充して介護報酬の大幅引き上げを行うよう、改めて求めるものである。

 10月30日に開催された第190回介護給付費分科会では、コロナ禍の影響を受けていない令和元年度決算でも、全サービス事業の平均収支差率は2.4%しかなく、前年度から0.7ポイント減少していることが報告されている。また、同分科会で発表されたコロナ禍の影響に関する緊急調査結果では、新型コロナウイルス感染症の流行前と比較して「悪くなった」と回答した事業所の割合は、緊急事態宣言が出された5月で47.5%、10月で32.7%となっている。

 介護事業所は、介護保険制度を支える上で極めて重要な役割を果たし、公益性を持っている。国は、必要な介護保険サービスを国民が受けられるよう、介護事業所の経営に責任を負う必要がある。介護事業所が現状で抱えている困難を早急に打開し、感染の再拡大・長期化に備えていく上で、また高齢化の進展に伴い今後いっそう増大していく介護需要に応えていく上で、介護報酬の大幅引き上げは、不可欠である。
 一方で、コロナ禍によって、さらに国民生活は一層厳しさを増している。
 したがって介護保険の利用者負担拡大は絶対にすべきではなく、介護保険料・利用料の減免の拡充や高額介護サービス費の上限額を引き下げ、利用者負担を軽減することが必要である。

 なお、障害福祉サービス等報酬改定については、0.56%の引き上げで合意されたと報道されているが、これでは全く不十分である。障害福祉サービス等報酬についても大幅な引き上げを求めるとともに、障害者がその能力を発揮できるよう、65歳以上になっても介護保険に優先して障害福祉サービスを利用できるよう求めるものである。

以上

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