※全国保険医団体連合会では、下記の談話を発表し、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:236KB])
【談話】薬価算定組織の議事録の公開等について
2020年12月24日
全国保険医団体連合会
医科政策部長 竹田 智雄
歯科政策部長 池 潤
中央社会保険医療協議会は12月23日、薬価算定組織、保険医療材料等専門組織及び費用対効果評価専門組織における議事録等について厚生労働省ホームページで公開することについて承認した。議事録については開示・不開示の基準等について検討を行った上で、早期に公開するとしている。
近年、高額な新薬が相次いで登場する中、オプジーボ、ゾルゲンスマなど薬価算定の透明性・適正性の確保に疑問が持たれるケースが見られる。引き続き、高額な医薬品等の保険収載をめぐる審議も予定されている。税・保険料、患者負担で成り立つ公的医療保険財政の下、薬価の決め方には、高い透明性と公正性が求められている。公正で透明な薬価制度の構築に向けて、これまで本会は、薬価算定の審議経過、議事録や審議資料はじめ情報の公開を強く求めてきた。今回の中医協の承認自体は評価するものの、先立つ政府の行政改革推進会議の行政事業レビューでの「議事録などは早期に公開すべき」とした取りまとめを受けた事後的な対応である。審議の透明性向上や情報公開、患者・国民への説明責任などの観点から、閣議でさえ議事録を公開している中、薬価算定過程における透明性確保の取組が遅れている感は否めない。
議事録の開示・不開示の基準等に関わっては、薬価算定案の妥当性の是非が十分に検証できるよう、医薬品医療機器総合機構(PMDA)及び薬価算定組織等で議論された内容・資料について、個人のプライバシーに関する事項や特許関連の事項を除き、全て開示・公表することが必要である。また、総会における保険収載をめぐる審議の判断に資するよう、できるだけ迅速に公開することが重要である。過去の議事録についても、速やかに公開していくべきである。
医療保険財政の改善や地域医療再生が焦眉の課題となる中、不明瞭な論拠や制度運用により、高薬価が算定され必要以上の医療費が浪費され、患者に不利益がもたらされることはあってはならない。引き続き、本会は、安全性と有効性が確認された医薬品等の速やかな保険収載を求めるとともに、情報の公開に基づいた適正な薬価算定はじめ、公正で透明な薬価制度に向けた改革を求めるものである。
以上