※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:153KB]

【要請書】新型コロナウイルス感染が収束するまで
個別指導等の実施を中止するよう求める要請

2021年2月5日
全国保険医団体連合会
社保・審査対策部
医科部長 武田 浩一
歯科部長 新井 良一

 

 厚生労働省は、指導等の実施について、2020年の7月2日に続き、1月18日「令和3年度における指導監査等について」(厚生労働省保険局医療課・医療指導監査室事務連絡)を発出し、2021年度の指導、監査等の実施方針を示した。同方針では、「緊急事態宣言が再発出されるなど、新型コロナウイルス感染症の収束が見込めない状況」として「実施に当たっては、十分な飛沫感染対策及び接触感染対策を講じ、会場についてはいわゆる『三密』とならない環境を確保するとともに、職員の健康管理を徹底する」、「必要に応じて指導時間の短縮等を考慮する」などとして、指導等の全面中止はしないこととしている。またCOVID-19の拡大状況から、2021年度も計画未達成が見込まれるがやむを得ないとも述べており、各都道府県に個別指導の実施の有無を委ねている。
 2020年度に各地で実施された個別指導では、「3密」を避けるため、指導を受ける医師・歯科医師には、参加人数の制限、指導当日「原則マスク着用」「体調不良時の申出」「参加者チェックシートの記入」などの感染対策を求めるなどの負担を強いている。しかし、指導会場での机の仕切りの不十分さなどで被指導者から不安の声が寄せられるなど、感染対策の不徹底が散見された。COVID-19への対応で手一杯な事情も考慮されずに、膨大な資料の持参も軽減されることなく求められている。また個別指導会場はおおむね都市の人口密集地域で行われており、こうした場所に保険医を呼び出すことにより、感染の危険性を高めている。
 さらに現段階は、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大により、緊急事態宣言が1都2府8県に出されている状況であり、大変憂慮するべき事態となっている。これ以上感染が拡大すれば、全国的に医療崩壊が深化し、医療壊滅の事態にもなりかねない。
 現状を鑑みれば個別指導等は不急の取り組みである。特にこのような状況下においては、感染症対策や医院経営などで、非日常的な診療体制にある。さらに新型コロナウイルス感染症の収束に向けて、全国的にワクチン接種の取り組みも計画されており、医療機関の果たす役割への期待はますます高まることとなる。以上のことを考慮すれば、一層慎重な対応が求められるのは当然である。他方で保険診療に関するルールの周知は重要であり、必要な資料配付や動画配信の取り組みの徹底がさらに求められる。
厚労省は緊急事態宣言の発出を受けて当面および来年度の指導の延期または中止を各厚生(支)局に指示しているが、いつ解除されるか見通しのない現状においては、各都道府県任せにするべきではない。2020年度の指導等は全都道府県で中止とし、2021年度も新型コロナウイルス感染が収束するまで「令和3年度における指導監査等について」通知を撤回し、指導等を中止とするべきである。以上を踏まえ下記事項を強く要望する。

一、 2020年度の個別指導等の実施は中止し、2021年度も新型コロナウイルス感染が収束するまで指導等を中止すること

以上

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