※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:170KB]

【談話】「随時改定T」の実施にあたり
金パラ「逆ザヤ」解消と価格改定のさらなる透明化を求める

2021年1月27日
全国保険医団体連合会
社保・審査対策部
歯科部長 新井 良一

 

 中医協総会は1月27日、4月の「随時改定T」実施を確認し、歯科用貴金属の告示価格を改定することとした。4月以降、金パラ1グラムの告示価格は2,668円となり、現行の2,450円から218円(8.9%)の引き上げとなる。
 当会の実勢価格調査「金パラ『逆ザヤ』シミュレータ」(以下「シミュレータ」)では、昨年7月以降金パラ実勢価格は高止まりしつつ緩やかに上昇し、最近の30グラムの購入価格平均は85,000円前後で推移している。改定後の金パラ30グラムあたりの告示価格は80,040円であり、現在の「逆ザヤ」を解消するには程遠い改定である。
 2020年を振り返ると、4月の基準材料価格改定、7月の「随時改定U」、10月の「随時改定T」と1年間で3回の金パラ価格改定が行われた。しかし、「シミュレータ」の購入価格平均では、新設の「随時改定U」が実施された7月に実勢価格と告示価格の乖離がほぼ解消されただけであり、基本的に一貫して「逆ザヤ」が継続している。年3回もの改定を行いながら、ほぼ年間を通じて歯科医療機関に「逆ザヤ」負担を負わせていることは、「随時改定」が金属材料価格と合金の市場価格変動にほとんど対応できていない証左であり、「随時改定U」も価格急変時に「逆ザヤ」の影響を多少緩和するだけの弥縫策に過ぎなかったことを早々に浮き彫りにしている。
 また、1月13日の中医協では、14カラット金合金の価格計算に誤りがあり、遡及して価格を訂正することとされた。歯科医師は金パラ「逆ザヤ」の負担の中で、金属材料価格の決定根拠やプロセスへの強い疑念を抱いており、今回の不備は金パラを含めた歯科用貴金属の価格決定への不信感を一層強めている。中医協に提出された資料では、従来示されていなかった平均素材価格の値が公表されており改善は見られる。しかし、肝心の市場実勢価格データである特定保険医療材料価格調査が非公開であり、金属価格決定の不透明さは依然として残っている。
 当会は今次の「随時改定T」の決定にあたり、特定保険医療材料価格調査の結果公表を含めさらなる透明化を求めるとともに、現に生じている「逆ザヤ」を解消する喫緊の手立てを講じること、告示価格と市場実勢価格の乖離の実態を厚労省の責任で検証し、抜本的な制度改善の検討を始めることを求めるものである。

以上

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