※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:170KB])
【声明】ワクチン接種の円滑実施を妨げるマイナンバー利用
2021年1月27日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
平井卓也デジタル改革担当大臣が1月19日、新型コロナウイルス感染症のワクチンをめぐり、マイナンバーで接種歴を管理すれば間違いが起きないと発言したことを受けて、河野太郎規制改革担当大臣は25日、マイナンバーと接種歴を紐づけ管理するシステム開発を進めると発表した。ワクチン接種に際して、市町村がマイナンバーと国民に配布された接種券の番号情報、医療機関が接種券番号と接種ワクチンの情報を、それぞれシステムに登録、紐づけるとしている。
コロナワクチン接種については、2月下旬から医療従事者より接種を開始し順次拡大する予定である。接種・流通体制の確保などを担う厚労省では、既に昨年10月の段階で接種記録におけるマイナンバーのリアルタイムでの管理は困難としており、この判断を基に自治体では急ピッチで準備を進めている最中である。今回のマイナンバー利用をめぐる二大臣の発言・対応は、ワクチンの円滑な接種に向けて準備を進める自治体に混乱を招き、ワクチン接種のスケジュールにも影響を及ぼしかねない。
また、コロナ感染拡大で医療崩壊の瀬戸際に置かれている医療機関において、ワクチン接種に加えて、システム登録など更なる手間を増やすこととなる。接種に際してマイナンバーやマイナンバーカードの提出を求めないとしているが、マイナンバー提供やマイナンバーカードがないと接種ができないと勘違いする人が出てくることも必至である。更に、システム構築については、国民の懸念が根強い個人情報保護との兼ね合いをめぐる問題も指摘されている。
政府の無為無策によるコロナ感染拡大の再燃により、患者・国民、医療機関はじめ社会全体が大きな困難・窮地にある中、両大臣の発言はマイナンバー制度の強引な普及を図ろうとして横やりを入れるものであり、円滑な接種行政に対する弊害と言わざるを得ない。ワクチン接種の円滑実施を妨げるマイナンバーの利用は中止すべきである。
以上