※全国保険医団体連合会では、第49回大会期第1回代議員会にて下記の通り決議を採択し、マスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:170KB]

コロナ禍から国民の命・健康を守る決議

 

 新型コロナウイルス感染症の拡大は医療・社会保障の劣化・脆弱さを露呈し、国民生活の困窮や経済低迷に追い打ちをかけている。長引く受診の手控えや外出自粛で高齢者の心身の健康状態は悪化し、新自由主義に基づく低医療費抑制政策に加え、コロナ禍での感染対策、患者減、収入減により多くの医療機関の経営逼迫は未だに改善していない。
 感染患者受入れを担う公立・公的・民間病院や保健所などの機能を縮小・後退させた結果、急増する感染症への対処を困難にし、感染拡大で医療崩壊が進行しつつある。また、生活困窮者への支援拡充や事業継続・雇用維持、感染拡大防止や医療確保などコロナ禍から国民の命・健康を守る施策の拡充は一刻の猶予も許さない。
 菅政権は、第3次補正予算案で、GoToキャンペーンの延長やデジタル化など不要不急の施策に巨費を計上する一方、持続化給付金・家賃支援給付金など事業継続支援を早々に打ち切った。感染拡大防止と医療確保に向けた財政措置も不十分で、医療現場への支援金給付も大きく遅れている。75歳以上の窓口負担2割導入など負担増を昨年末に決定し、コロナ禍で心身ともに疲弊する高齢者世帯や家族を追い詰めた。さらに感染拡大が続く中、GoToキャンペーンの推進に固執し、感染を全国に蔓延させた。年末年始の感染急増を受けて、緊急事態宣言を発出し、感染抑止最優先に方針を転換したが、後手後手の対応で医療逼迫を招いた責任は重大である。
 感染拡大防止に向けて今必要なことは、休業・時短要請に対する罰則強化ではなく、十分な補償を担保することであり、入院療養を願う新型コロナ感染者の病床・宿泊療養施設も確保に向けて、予備費などを早急に投入すべきである。検査体制の抜本拡充も自治体任せではなく、国費を投入し、医療機関、高齢者施設での院内感染、クラスター発生の抑止に向け、全力で医療現場を支援すべきである。
 第一線医療の担い手として、コロナ禍での国民の命・健康確保に向けて役割を発揮するとともに、医療従事者の処遇を改善し、すべての医療機関の経営逼迫を解消するため以下の事項を強く要求する。

一、

すべての医療機関の経営逼迫を解消するため、実質的な減収を補填すること。

一、

感染拡大防止や診療体制確保に向け、診療報酬の引き上げ、補助金を拡充すること。

一、

新型コロナウイルス感染者を受け入れる病床・宿泊療養施設を確保し、医療従事者の処遇を改善すること。

一、

国として検査体制、保健所機能を抜本的に拡充し、医療機関、高齢者施設での院内感染、クラスター発生を防止すること。

一、

新型コロナウイルス感染症ワクチン・治療薬は国として有効性・安全性をしっかりと検証し、安定供給に万全の体制を構築すること。有害事象への補償、治療をしっかりと行うこと。

一、

実効性のある感染防止対策に向け、休業・時短要請先への十分な補償を実現すること。

一、

75歳以上の窓口負担2割導入など負担増の方針や法案提出を撤回すること。

一、

生活困窮者への支援、事業継続、雇用維持に向けた施策を維持・拡充すること。

2021年1月31日 2020年〜2021年度第1回代議員会

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