※全国保険医団体連合会では、下記の理事会声明を発表し、マスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:158KB])
【理事会声明】「75歳以上の医療費窓口負担2割導入」の
撤回・廃案へ
集中的な取り組みを全国で
2021年3月11日
全国保険医団体連合会
20〜21年度第14回理事会
3月下旬にも山場 患者さんと地域の人たちに働き掛けを
国会で、「75歳以上の医療費窓口負担2割導入」を含む健康保険法等改正法案の審議が始まろうとしている。「2割負担導入」は一定の年収のある75歳以上の人の医療費窓口負担を、現行の1割から2割へと「2倍化」するものである。
この間私たちは、政府の「2割負担導入」計画に対して、「ストップ!負担増」「コロナ禍のこんなときに負担増なのか」と反対の声をあげ、患者に、地域の住民にも呼び掛けてきた。
全国で取り組んだ「ストップ!負担増署名」は17万筆に達した。1月に提起した「2割化撤回署名」は現時点までに累計78万筆を超えている。
いま「2割負担導入」の国会審議が目前となる中、国民の関心が急速に高まっている。地元紙への署名チラシの折り込みをしたところでは署名がかつてない規模で戻ってくるなど、「2割負担導入」の中身と問題点を、知らせれば知らせるほど、訴えれば訴えるほど大きな反響を呼んでいる。
国会での審議は3月下旬から4月上旬にかけて山場を迎える。これまでの成果を踏まえ、全国の取り組みをここに集中し、患者さんと文字通りすべての住民に働き掛けよう。
「2割負担化」に合理性も正当性もない
医療費の窓口負担が増えれば受診抑制が起きることは経験的に明らかであり、「2割負担導入」は高齢者を医療から遠ざける冷酷、非情な政策と言わざるを得ない。
2割負担の対象者(「単身で年収200万円以上」など)の線引きにも合理的な根拠は示されない上、今回の「2割負担導入」によって減少する「現役世代」の負担は1人当たり年350円(月約30円)で、最も減少するのは公費負担(980億円)であることが明らかになった。
「2割負担導入」を含む法案の目的である「全世代型社会保障」は、国の社会保障への責任を後退させ、「高齢者」と「現役世代」とに国民を分断して負担を押し付け合わせるに等しい。「必要な人に必要な給付を国の責任で」という本来の社会保障とは無縁であり、「高齢者も応分の負担を」という説明も、本来、税・保険料による財源確保の場面で図るべき応能負担原則を、給付の場面にあてはめるまやかしの議論である。
高齢者の命と健康を顧みない「2割負担化」には合理性も正当性もない。私たちは、社会保障に対する国の責任を後退させる「2割負担導入」に反対し、全力を挙げて法案の撤回・廃案に向けて取り組む。
以上