※全国保険医団体連合会では、下記の談話を発表し、マスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:148KB])
【談話】不祥事を頻発する東京電力に抗議し、
原発は廃炉にすることを求める
2021年3月19日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部
部長 野本 哲夫
東京電力(東電)が原子力発電所を運転する資格があるのか、厳しく問われるべき不祥事が柏崎刈羽原子力発電所で相次いでいる。原子力規制委員会(規制委)は再稼働の手続きを保留、東電社長が国会で陳謝する事態となっている。
2017年、柏崎刈羽原発6、7号機が再稼働に向けた安全審査に合格する際、規制委は東電に原発を運転する適格性があるかをただし、東電経営陣は安全確保に最善を尽くす誓いを保安規定に記した。
その後、18年に侵入検知装置の故障が複数箇所で発生、すぐに復旧できず対応が長期化。20年3月以降も故障した装置を補う代替措置も実効性がないことを承知で改善しなかった。9月にはIDを不正に使用し不正入室。公表するまで原子力規制庁は4ヶ月隠蔽した。ID不正が発覚した4日後の1月27日、7号機の安全対策工事が完了していなかったと発表。2月15日には建屋内に火災感知器が取り付けられていなかった新たな工事未完了を発表。翌17日にも核物質防護規定に違反する「侵入検知の設備の損傷」を公表。3月3日にも4例目の工事未完了を発表した。
規制委は2月8日不正入室問題で東電任せにできず関与が必要と決定し、3月16日にテロ対策用の不備を設立以降初めて安全上「最も深刻なレベル」の評価を下した。
再稼働を容認してきた方々からも厳しい声が相次いでいる。「東電の資質・適格性を疑わざるを得ない」(桜井雅浩柏崎市長)、「解決できなければ一巻の終わりということ」(品田宏夫村長)、「結果次第では東電には原発を運転できない、させないということが、社会の常識になるのではないか」(自民党県連 小野峯生 幹事長)。
規制委の更田豊志委員長は16日の会見で、東電の一連の対応について「わかっていて意図的にやらなかったのか。知識が足りなかったのか技術的能力の問題か。なめているのか」「データ改ざんや隠蔽は東電で際立っている。悪い意味で東電スペシャルなのではないか」と語気を強めた。16日、梶山弘志経産相は緊急会見で「最も厳しく評価された。このままでは再稼働できる段階にない」と述べたが、東京電力には企業体質を改善できないなど組織的問題があり、もはや原発を運転する資格、適格性はないといわざるを得ない。
本会は、国民のいのちと健康を守る医師、歯科医師の団体として東電が不祥事を頻発することに抗議する。東京電力は、柏崎刈羽原発は再稼働ではなく廃炉とすること、再生可能エネルギーの普及に貢献すべきである。
以上