※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、総理、厚労大臣及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:238KB])
【声明】マイナンバーカードの保険証利用の無期限延期を求める
2021年3月31日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
3月下旬より本格運用を開始するとしていたマイナンバーカードの保険証利用について、患者の情報が確認できないなどのトラブルにより、本格運用の開始が「10月までに」延期されることとなった。
報道によれば、3月上旬より実施しているプレ運用(24都道府県の54施設)において、保険証に記載された情報と一致しなかったり、「情報が登録されていない」と表示されたりするなどのケースが相次いでいる。他人の医療情報が医療機関の端末に示される恐れや、現在判明している以外の未知のデータ精度の問題が存在する可能性なども指摘されている。
厚労省は、原因として、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う保険者のデータ登録・確認等の遅れ、登録したマイナンバーの誤りや、被保険者番号が正確ではないなど登録・管理データの不備・誤りなどについて報告しているが、オンラインによる資格確認システム運用の根幹に関わる問題であり、極めてお粗末な事態と言わざるを得ない。
10月までの延期にしても、薬剤情報の閲覧開始予定を10月としている従前の政府方針に基づく、日程ありきの対応である。その間、プレ運用は継続して、10万程度の医療機関まで順次拡大していくとしており、なし崩し的に本格運用に入っていくことも危惧される。利用機関の順次拡大はじめ、本格運用開始も10月までと期限を切らずに、マイナンバーカードの保険証利用についてはいったん無期限に延期すべきである。
政府は、保険証として利用できる宣伝をしてきた以上、政府には当面、マイナンバーカードは保険証として利用できないことについて、患者・国民に周知徹底すべき責任がある。また、今回のトラブル等によりマイナンバーカードの保険証利用は導入しないとした医療機関からのカードリーダーの申請キャンセルや、いったん受け取ったカードリーダー返却などにも無条件で応じるべきである。
引き続き、本会は、医療情報とマイナンバーの紐づけがなし崩し的に拡大される事態につながるマイナンバーカードの保険証利用、医療・社会保障の抑制・削減、国民監視・行動統制等に利活用される危険性が強いマイナンバー制度の利用推進・拡大に対して、強く反対するものである。
以上