※全国保険医団体連合会では、下記のアピールを発表し、マスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:169KB]

【アピール】東京電力福島第一原発事故から10年
−原発ゼロをめざして広範な人々と連帯を

2021年4月11日
全国保険医団体連合会
第9回原発問題学習交流会

 

 東京電力福島第一原発の過酷事故から10年、デブリ(溶融核燃料)の取り出しは困難で見通しさえ立たず、廃炉への道筋さえ示せない。
 今も福島では避難者が県の統計でも3万人をこえ、復興公営住宅入居者や自主避難者などを含めると実際には8万人以上の人たちが避難前の元の土地で生活することができない過酷な状況におかれている。
 被災者救済に向け原発事故の補償・賠償を求め、全国30カ所で裁判が行われ、賠償請求とともに避難による生活苦や精神的苦痛、更に人間関係やコミュニティなど包括的生活基盤を失った「ふるさと喪失」の損害賠償の支払いを求める裁判では、2つの高裁で国と東電の責任があるとの判決がくだされた。
東京電力福島第一原発の事故は、予想された地震への対策を怠り、全電源喪失を招いた結果であり、人災である。また、地震による原子炉の損傷があったことも指摘されているなかで、私たちは事故原因の究明と国と東電の責任で廃炉、除染、十分に賠償すること、住民の健康管理を徹底することを強く求め、各地の裁判と連帯していく。
 菅義偉首相は通常国会冒頭の施政方針演説で、2050 年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量と吸収量の差をゼロにすると宣言した。しかし、2050年の電源構成のうち3〜4割を原子力発電と化石燃料による火力発電でまかなうとしている。原発については、再稼働にとどまらず、次世代小型炉への取り組みを最も強調し、新設やリプレースまで踏み込んだ。世界の潮流は原発ゼロ・再生エネルギーの普及であり、逆行しているものである。
 さらには、増え続ける汚染水を、保管容量の増強も検討せず、漁業者をはじめ多くの福島県民が反対しているにもかかわらず、なし崩し的に海洋放出の強行を決定しようとしていることは許されることではない。
 今年行われる総選挙の争点に原発ゼロを押し上げる上でも、「原発ゼロ署名」を始めとする原発ゼロ法案を実現する運動を更に広げ強めていくことが求められている。
 私たちは、第9回原発問題学習交流会において、原発事故による甚大な被害を受けた福島の現実を知り、このため原発再稼動を許さない原発ゼロ社会実現に向けた各地の運動を交流した。
 私たちは、各地の運動経験を糧に原発ゼロ、再生エネルギーへの転換の国民世論が反映される政治・社会の実現のため広範な人々と連帯した運動を進めていく。

以上

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