※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、厚労大臣、経産大臣及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:148KB]

【声明】トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出を
行わないことを求めます

2021年4月11日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫
第9回保団連原発問題学習交流会

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から10年を迎えました。今なお多くの人びとが避難生活を強いられ、復興に向け懸命の努力が続いています。

 こうした中、4月7日、貴職らは、全漁連の岸宏会長、福島県漁連の野崎哲会長らと官邸で面会し、トリチウム汚染水について、海洋放出の方向を示しました。そして、4月13日にも関係閣僚会議を開催し、海洋放出を決定する方向であると報道されています。こうした動きに強く抗議するとともに、海洋放出を絶対に行わないことを強く求めるものです。

 昨年来の政府による意見聴取等でも明らかなように、漁業者をはじめ多くの福島県民は汚染水の海洋放出に反対か慎重な対応を求めています。福島県内においても、県議会をはじめ県内市町村の7割を超える市町村議会で反対や慎重な対応を求める意見書や決議が採択されています。また、ALPS処理水の約8割にトリチウム以外の放射性物質が残存していることも指摘されています。
 もし、汚染水が海に流されるならば、本格操業をめざし、移行期間に移った福島県の漁業に壊滅的な打撃を与え、これまでの努力が水泡に帰すことになります。漁業者をはじめ多くの県民が反対や慎重の声をあげているもとで、海洋放出を強行することは許されません。

 また、福島第一原発構内では中身が不明のコンテナ4000基が新たに見つかるなど、東京電力のずさんな管理が明らかになったばかりで、柏崎刈羽原発の核防護をめぐる重大事象など東京電力の安全管理に国民的な不信が広がっています。もはや東京電力に原発の運転資格がないことは明らかで、安全対策にも極めて強い疑念を抱かざるをえません。

 以上をふまえ、私たちは命と健康を守る医師・歯科医師の立場から、トリチウム汚染水の海洋放出は絶対に行わないこと、当面、陸上保管を継続し、国内外の英知を結集して解決をはかることを求めます。

以上

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