※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、総理及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:214KB]

【声明】感染拡大、医療逼迫を招く
東京五輪・パラリンピック開催は中止を

2021年4月20日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 政府は、感染者数が下げ止まらない中、3月21日に1都3県の緊急事態宣言を解除し、解除後わずか2週間で感染再拡大を招いた。4月5日の大阪、兵庫をはじめ10都府県でまん延防止等重点措置の発令に追い込まれた。変異株による感染急増で病床逼迫は危機的な状況にある。政府の専門家からも、緊急事態宣言の再発令を求める意見が出されており、変異株による第4波拡大を強く警戒されている。
 コロナ危機が続く中でも菅政権は、東京五輪・パラリンピック開催に固執している。3月20日に海外からの観客受け入れを断念したが、3月25日に聖火リレーを強行。沿道観客の密集による感染拡大の懸念から、大阪、沖縄、松山などでリレーが中止された。
 菅首相は、五輪を「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証し」と位置付け、安全・安心の五輪開催に向け着実に準備を進めるとしている。しかし、政府のコロナ対策も後手に回り、感染収束に不可欠な検査体制の拡大や医療体制の強化、中小事業者への補償は不十分なまま、国民に自粛や我慢を強いる対策に終始しており、多くの国民が五輪開催を疑問視している。
 国内外からの33競技1万1千人の選手や国内観客受け入れに伴う感染防止策の具体的な検討も進んでいない。また、五輪開催に1万人の医療従事者が必要とされるが、変異株の感染拡大が続く中で開催を強行すれば、平時の対応に加え、選手や観客へのPCR検査、陽性時の収容、重症者への対応などの業務負担が加わる。ワクチン接種も大幅に遅れており、接種体制の確保が課題となる中で、五輪開催に医療従事者を動員することは、開催を優先するあまり、国民の命・健康を軽視した対応と言わざるを得ない。
 政府は、感染拡大や医療逼迫を招く東京五輪・パラリンピックの開催を速やかに中止すべきだ。

以上

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