※全国保険医団体連合会では、下記の談話を発表し、マスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:153KB]

【談話】国民投票法改正案の採決に抗議します

自公政権による改憲の動きに反対し、コロナ禍で憲法が生きる社会の実現を

2021年5月12日
全国保険医団体連合会
非核平和部長 永瀬 勉

 

 自民党と立憲民主党は5月6日、改憲手続きを定める国民投票法改正案について、CM規制などについて3年後をメドに検討することを付則に明記する修正を加えた上で、6月16日までの会期中に成立させることで合意し、衆院憲法審査会は同法案を修正の上可決した。保団連は、「平和と民主主義の日本国憲法の理念を守り、憲法9条への自衛隊明記をはじめとする憲法『改正』発議や国民投票は行わないこと」(保団連第49回大会基本要求)とする立場から、改正案の衆院での可決に抗議するものである。

 今回の改正案は下記の3点で問題があり、保団連は同法の成立に反対する。

 第1に、憲法改正の投票を通常の選挙と同列に扱っていることである。同改正法案は、2016年に改正された公職選挙法(名簿の閲覧、在外名簿の登録、共通投票所、期日前投票、洋上投票、繰り延べ投票、投票所への同伴)の7項目にそろえて改正するものである。提出者は、投票環境を改善するものとしているが、たとえば期日前投票時間の2時間の短縮が可能となっているなど、投票環境を後退させるものも含まれている。国民投票において、国民の投票環境を後退させることは絶対に許されない。

 第2に同改正法案は、根本的な問題が未解決なことである。有料広告規制の問題や、最低投票率の問題、ビッグデータの利用の規制の問題は、法改正の議論において、避けては通れない重大な問題である。また、運動の主体の問題もきわめて重要だ。現在は、公務員・教育者に対する規制を除き運動主体に制限はない。企業(外国企業を含む)や外国政府などが、費用の規制もなく自由に国民投票運動ができるとする法制は、抜本的な見直しが不可欠である。

 第3に昨年来の新型コロナウイルス感染症の深刻な拡大状況下で拙速な改憲議論を進めるべきではない。そもそも、自民党の改憲4項目の中には大災害に対応するためとして緊急事態条項が盛り込まれ、大災害で国会が機能しなくなった事態に備えるとしているが、新型コロナへの対応が遅れているのは憲法や国会における民主的手続きのせいだと言わんばかりの提案と受け取らざるを得ず、断じて許されるものではない。新型コロナウイルスへの対応が迅速に行われず、対策が後手に回っている最大の原因は、憲法や国会の機能不全などではなく、国会での議論を避けようとする政府の姿勢にこそある。

 改憲を許さず、コロナ禍で憲法が生きる社会の実現を求めるものである。

以上

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