※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、総理、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:157KB]

【声明】「75歳以上の医療費窓口負担2割化」に厳しく抗議する

2021年6月4日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 

 「75歳以上の医療費窓口負担2割化」などを内容とする健康保険法等の一部改正案が、6月3日の参議院厚生労働委員会で自民、公明、維新、国民民主各党の賛成多数で可決し、4日の本会議を経て成立した。
 私たちは、高齢者の必要な受診の機会を奪い、いのちと健康への影響について検証すらしないまま、このコロナ禍において「2割化」を強行したことに対して、地域医療に従事する医師・歯科医師として厳しく抗議する。

国会審議の中では「高齢者が必要な医療を受けられなくなるのではないか」、「受診抑制によって健康への悪影響が生じないか」ということが再三にわたり問題となった。しかし、政府からの明確な答弁はなかった。菅首相は、「2割化」が「直ちに患者の健康への影響を意味しない」と述べたが、これには何の科学的・客観的根拠もない。
 また2割負担の対象となる範囲(年収基準)は法改正を要せずに、今後拡大することができる制度設計になっている。
 「2割化」の導入は「医療費抑制のためには、いのち・健康に影響が及んでもやむを得ない」というに等しく、今後の医療のあり方に重大な禍根を残す。

 年金や介護の制度改悪が行われる中、多くの高齢者とその生活を支える家族の「2割化」への不安、懸念が広がっている。この間、私たちも取り組んだ「2割化中止・撤回」を求める国会請願署名は105万筆を超えた。
 コロナ感染症が依然猛威を奮い、日々の暮らしや健康への不安が高まっている中、反対の声がさらに高まることは必至である。
 いま全力を上げねばならないのは、国民の生活、生業の保障であり、病床や検査体制の確保、速やかなワクチン接種など医療提供体制を立て直すことである。患者、国民の生活実態を踏まえ、今こそ社会保障の所得再分配機能を発揮させることである。
 これらに逆行する「2割化」に、私たちはあらためて抗議する。併せて、地域の患者・住民とともに、負担増の実施中止と負担の軽減に向けて取り組んでいくことを表明する。

以上

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