※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、マスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:202KB])
【談話】政府の裁量権濫用、市民活動制限につながる
欠陥だらけの土地規制法は撤廃を
2021年6月21日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
基地や原発の周辺、国境離島などの土地の利用を規制する法(土地規制法)が16日未明の参院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党によって採決が強行され、可決・成立した。
同法は、重要施設の周囲1キロや国境離島を「注視区域」に指定し、土地や建物の所有者の氏名・住所、利用実態などを政府が調べることができる。「施設機能」や「離島機能」を阻害する行為の用に供したり、供する明らかなおそれがあると認められるときは、利用中止などの勧告を行ったり、罰則付きの命令(2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金)を科すことができる。特に重要な施設については周辺を「特別注視区域」とし、一定面積以上の土地や建物の売買には事前の届け出が必要となり、土地等の売買などについて、当事者に事前の届出を罰則付き(6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金)で義務づけるものとなった。
政府は、基地周辺や国境付近の離島などの土地が外国人らに買収される事例を念頭に「安全保障上のリスクがある」と同法の必要性を主張しているが、具体的事例は提示されず、調査範囲や罰則の対象行為などがあいまいで、政令や閣議決定に委ねられている。
また、政府は、規制対象区域に想定する国境離島が484カ所、防衛関係施設が500カ所以上としているが、具体的なリストを示さなかった。
国境圏域であり、米軍基地が集中する沖縄県は県内全域が「注視区域」「特別注視区域」に指定されることによる私権制限の懸念の声があがるのも当然であり、基地建設反対の動きが「機能阻害行為」とみなされる危険性もある。
同法は、憲法の平和主義との関係や個人情報保護、プライバシー権との関係、財産権保護との関係、適用範囲が不明確であるなど、多くの問題点を有している。
以上の点からも今回の「土地規制法」成立は政府の裁量権の濫用による市民活動が制限される恐れが大きく、また、立法の必要性が見当たらない。同法の撤廃を求めるものである。
以上