※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、マスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:212KB])
【談話】国民投票法改正の成立に抗議する
自公政権による改憲の動きに反対し、
コロナ禍でこそ憲法が生きる社会の実現を
2021年6月21日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
参議院本会議は6月11日、改憲手続きを定める国民投票法改正案を自民党、立憲民主党などの賛成多数で可決した。菅首相は、改憲推進派の集会で、今回の国民投票法改正を「改憲への第一歩」と発言し、改憲に固執している。保団連は、「平和と民主主義の日本国憲法の理念を守り、憲法9条への自衛隊明記をはじめとする憲法『改正』発議や国民投票は行わないこと」(保団連第49回大会基本要求)とする立場から、改憲への動きとなる国民投票法改正の強行に抗議するものである。
同改正法は、2016年に改正された公職選挙法(名簿の閲覧、在外名簿の登録、共通投票所、期日前投票、洋上投票、繰り延べ投票、投票所への同伴)の7項目にそろえるものである。法案提出者は、投票環境を改善するものとしているが、期日前投票時間の2時間の短縮が可能となっているなど、投票環境を後退させるものも含まれている。国民投票において、国民の投票環境を後退させることは絶対に許されない。
また、今回の改正では、有料広告規制の問題や、最低投票率の問題、ビッグデータの利用の規制の問題など同法のもつ本質的な欠陥を解消しないことも大きな問題である。
昨年来の新型コロナウイルス感染症の深刻な拡大の下での国会において、拙速な改憲議論を進めるべきではなく、国民の生命と健康を守るためにコロナ対策に真剣に取り組むべきであった。
また、自民党の改憲4項目の中には大災害に対応するためとして緊急事態条項が盛り込まれ、大災害で国会が機能しなくなった事態に備えるとしているが、新型コロナへの対応が遅れているのは憲法や国会における民主的手続きのせいだと言わんばかりの提案と受け取らざるを得ず、断じて許されるものではない。新型コロナウイルスへの対応が機動的に行われず、対策が後手に回っている原因は、憲法の不備や国会の機能不全にあるではなく、菅政権が国民の生命や生活を守ることに背を向けたコロナ対策しかしてこなかったことにあるのは明白である。
私たちは、憲法9条を守り、国民の命とくらしを守る立場から、菅政権による改憲への動きを許さず、コロナ禍でこそ憲法が生きる社会の実現を求めるものである。
以上