※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、マスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:176KB]

【抗議声明】美浜原発3号機の再稼働に抗議し中止を求める

2021年6月25日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部
部長 野本 哲夫

 

 関西電力は6月23日、運転開始から40年を超えた老朽原発(1976年12月運転開始から今月末で44年7か月となる)として初めてとなる、美浜原発3号機を再稼働させた。政府・経産省(エネルギー庁)担当官が何度も福井県入りして「原発を活用する重要性は高まっている」「40年超運転は必要だ」と迫り、杉本知事を説得。杉本県知事も「国から一定の方針が示された」と評価し、約束だった県内で保管する「使用済み核燃料の県外搬出」が確定しないまま再稼働を容認。杉本知事は、「国には引き続き原発の重要性や必要性について国民理解の促進に努めてほしい」と発言した。
 国民や環境に対する安全性の確保より、老朽原発「再稼働ありき」の姿勢を貫き、東京電力福島第一原発事故の収束の見通しも不透明のまま「原子力政策」を推進する国、自治体、営利企業が一体となった今回の老朽原発再稼働の強行は断じて許されず強く抗議する。

 東電福島第一原発事故後に、原発の寿命を「原則40年」とするルールが設けられたが、今回の再稼働は自ら決めた「ルール」をもなし崩しする蛮行と言わざるを得ない。

 原発は運転期間が長くなるほど、炉心から出る中性子線を浴びる原子炉圧力容器の鉄鋼がもろくなる照射脆化が起こり、破損の危険性が急激に上昇すること、使用している機器の設計の古さなどもあり、重大な事故を生じさせる危険性が高いと指摘されている。また、@2004年に2次系配管が老朽化による減肉で破損し、高温高圧の蒸気が噴出して11人が死傷する事故を起こしており、A避難計画の策定が義務づけられている半径30`圏内には滋賀、岐阜を含む3県10市町村に約27万9,000人が暮らしているが、避難計画の実行性が担保されないことも問題になっている。B敷地内にたまり続ける使用済み核燃料の取り扱いも県と約束した中間貯蔵施設の確保についても、先送りになったままである。

 美浜原発3号機は、7月27日から営業運転を始める予定とされているが、同原発は新規制基準で設置を義務付けられたテロ対策の特定重大事故等対処が未完成のため、10月23日には既に停止させることが予定されている。そのテロ対策施設を含め約2700億円を上回るとしている。

 我々医師・歯科医師は、国民のいのちと健康を守ることを使命とする医療者として、関西電力美浜原発3号機の即時運転中止を強く要求する。
 また、東京電力福島第1原発事故の原因究明と収束、トリチウム(ALPS)処理水の海洋放出を中止し、陸上タンク保管の継続、放射能汚染水の増加防止対策、及び原発汚染水処理の対策を世界の英知を結集して講じるよう要求する。あわせて全ての原発の廃炉を進め、地球温暖化防止対策を進めるため、再生可能エネルギーへの政策転換を強く求めるものである。

以上

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