※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、マスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:226KB])
【声明】初診からのオンライン診療の恒久化に改めて反対する
2021年7月5日
全国保険医団体連合会
医科政策部長 竹田 智雄
「骨太の方針2021」は、新型コロナウイルス感染拡大により特例的・時限的に認めている初診からのオンライン診療について恒久化する方針を明記した。同日閣議決定した「規制改革実施計画」ではより具体的に、初診からのオンライン診療は原則かかりつけ医によるとしつつも、かかりつけ医以外の医師の場合でも事前にカルテや診療情報提供書等で患者の状態が把握できている場合、更には事前に患者とオンラインでやり取りして医療情報が把握などできている場合、初診からのオンライン診療を認める方向で検討するよう求めている。
今後、厚労省のオンライン指針見直し検討会で議論を進め、秋目途にオンライン診療指針が改定される予定だが、実施計画などが示す検討の方向性は、つまるところ、見も知らぬ患者でも事前に情報をやり取りさえしていれば、初診からオンライン診療を認めるということであり、あまりにも例外の範囲が広いものと言わざるを得ない。
そもそも対面診療と比べ取得できる診療情報が大幅に限定されるオンライン診療を初診の患者から行うことは、疾患の見落とし・見誤りなど誤診の可能性や、重症化の見落としリスクが高まることなどは明らかである。患者のなりすましも懸念されるなど、初診からのオンライン診療の恒久化は到底認められるものではない。
実施計画では、健康な勤労世帯等かかりつけ医がいない患者などの受診機会を確保するためであるかのように述べているが、まずは企業に通院時間を保障するよう指導したり、患者にかかりつけ医を持つよう啓発など進めるべきであり、医療の質・安全に多大な不安を抱える初診からのオンライン診療を恒久化することは本末転倒である。
現在の特例下で認めているオンライン初診においても、都道府県による再三の指導にもかかわらず、依然として処方薬剤や日数制限などのルールが遵守されていないケースや、重篤疾患の可能性のある症状に対して受診勧奨が少ない、遠方地の患者を診療しているなど不適切な事例が散見されている。オンライン診療はあくまで対面診療の補完に留めるべきである。本会は、改めて初診からのオンライン診療の恒久化には反対する。
以上