※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、厚労省、国会議員及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:130KB]

【談話】「逆ザヤ」前提の金パラ価格改定に抗議し
抜本的な制度改善を求める

2021年7月19日
全国保険医団体連合会
社保・審査対策部
歯科部長 新井 良一

 

 中医協総会は7月14日、10月に歯科用貴金属の随時改定Tを実施することを決めた。10月1日から金パラの告示価格は2,951円となり、現行の2,668円から283円(10.6%)引き上げられる。改定後の30グラムあたり価格は88,530円となるが、これは貴金属価格の大幅な下落がない限り「逆ザヤ」となる告示価格であり、到底容認できない。
 保団連が呼びかけた実勢価格調査「金パラ『逆ザヤ』シミュレーター」には、4月〜6月の購入価格1,825件が全国から寄せられた。歯科医療機関での3か月間の金パラ購入価格平均は税込み98,370円である。4月に改定された告示価格2,668円(30グラム80,040円)との関係では−18,330円、告示価格の2割を超える大幅な「逆ザヤ」負担を歯科医療機関は強いられてきた。
 金パラの価格は、パラジウムをはじめとする材料価格の高騰を背景に上昇を続け、「逆ザヤ」が恒常化しており、現行の随時改定制度が機能不全に陥っていることは明白である。材料料の赤字は、低歯科診療報酬とコロナ禍による減収の下で疲弊した歯科医療機関の経営をさらに圧迫し、歯科医療提供の継続を脅かす一因となっている。「逆ザヤ」解消を求める歯科医療現場の声を受けながら、現行制度の手直しに終始し、抜本的解決に向けて動いてこなかった厚労省のこれまでの姿勢を厳しく批判せざるを得ない。
 中医協では2022年度診療報酬改定に向けた議論のテーマとして、歯科用貴金属の随時改定を取り上げることが示された。「逆ザヤ」の抜本解消のためには、まずは市場実勢価格の推移に基づく告示価格との乖離を具体的に検証することが不可欠である。厚労省は責任をもって、解決すべき「逆ザヤ」の実態や規模を明確にすべきである。
 次期改定において、今度こそ「逆ザヤ」が生じることのない制度を構築すること、また、これまでに生じてきた「逆ザヤ」への対応を強く求める。

以上

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