※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を発表し、総理、厚労大臣及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:141KB]

【要望書】新型コロナウイルス感染症患者の命を奪う
「入院制限」方針に抗議するとともに、 「入院制限」方針の完全撤回と、
必要な医療提供体制の確保を求める緊急要求

2021年8月8日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 菅総理は、8月2日に開催された新型コロナウイルス感染症の医療提供体制に関する閣僚会議で新型コロナウイルス感染症患者の「入院制限」を政府方針とすることを明らかにし、8月3日には「入院は重症患者や特に重症化リスクの高い者に重点化する」方針を都道府県・保健所設置市・特別区宛てに通知した。
 これに対して多くの国民から批判が相次ぎ、野党だけでなく与党からも撤回要求が出されたことを受けて8月5日には説明資料を「入院は重症患者、中等症患者で酸素投与が必要な者、投与が必要でなくても重症化リスクがある者に重点化」と修正し、「引き続き、病床・宿泊療養施設の確保に取り組む」ことを追加した。しかし、入院対象の重点化方針は撤回されておらず、病床確保の取り組みもこれまでの「引き続き」で済まそうとしている。
 中等症患者が短期間で重症に転じるケースが相次いでいる。入院治療であればすぐに対応が可能だが、在宅では対応が困難で死亡リスクが高くなる。重症者の増加を食い止めるためには、軽症者、中等症へのしっかりとした対応が必要である。
 新型コロナウイルス感染症患者の入院治療を行う病床・医療スタッフが足りないことは事実である。しかしそれは、@長年にわたる政府の医療費抑制・病床削減・医師養成制限、保健所機能の縮小政策、A新型コロナ感染症発生から今日まで医療提供体制の抜本的改善を政府が怠ってきた結果である。今やるべきことは、中等症患者などを見殺しにする棄民政策ではなく、コロナ病床・人員確保のための更なる公費投入、徹底したPCR検査の実施、ワクチン接種を希望する方へのワクチンの早急な確保、治療法の開発である。
 当会は、今回の決定に強く抗議するとともに下記事項の実現を直ちに求めるものである。

一、 新型コロナウイルス感染症患者の命を奪う「入院制限」方針を撤回すること。
一、 コロナ病床・人員確保のため、更なる公費投入を行うこと。
一、 医療費抑制、病床削減、医師養成制限、保健所機能の縮小政策を中止し、必要な医療費財源を確保すること。
一、 保健所機能を強化し、在宅患者のフォローアップ体制が十分に図れるようにすること。
一、 徹底したPCR検査、希望者へのワクチン接種、治療法の開発を早急に進めること。
一、 通常の入院医療や外来・在宅の医科・歯科医療を確保することは、コロナ感染症拡大の中で更に重要となっている。このため減収補填や補助金制度の改善・拡充を行うこと。

以上

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