※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を発表し、総理、経済産業大臣及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:169KB])
【声明】東京電力福島第一原発事故で発生した
トリチウム汚染水(ALPS処理水)の福島沖合への海洋放出に
断固抗議する
2021年9月1日
全国保険医団体連合会
公害環境対策
部長 野本哲夫
マスコミ各紙は、政府が8月24日、処理水処分関係閣僚会議で、東京電力福島第一原発事故で発生した放射性汚染水のトリチウム汚染水(ALPS処理水)を、約1kmの海底トンネルを東電に新設させ沖合放出する方針を決めたと報道しました。このことは政府、東電が全魚連、福島県漁連らとの約束を反故にしたばかりでなく、地元関係の理解と納得を得る十分な説明さえ放棄するものであり、断じて容認することはできません。強く抗議します。
全国漁業協同組合連合会を初め、農林水産業、消費者団体の関係者、地域住民は海洋放出方針が報じられて以降、一貫して政府方針に反対してきました。福島県漁連は、本格操業を前に福島県の漁業に壊滅的な打撃を与え、これまでの努力が水泡に帰すことになると猛反対しています。
今年5月に福島民報・福島テレビ共同調査の行った福島県民への調査では、政府の海洋放出方針決定について、海洋放出で最も懸念されることは、@新たな風評被害40.9%、A福島県民への偏見・差別18.1%、B県内産業の衰退12.1%、C11.0%が健康被害を懸念していると回答しています。
2021年2月20日、朝日・福島放送共同調査でも、トリチウム汚染水の海洋放出について、調査に回答した県民のうち反対が53%と賛成を多く上回っていたことからも民意は明らかです。
海洋放出の方針は直ちに撤回すべきです。1km沖に流す考えは、青森の核処理施設を例にとれば、湾内の規制濃度に触れない方法として、パイプを沖合に引いて、大量に垂れ流すことを政府が容認するものです。
「危険物質を海に、空に捨てるな」「薄めても捨てる量は変わらない。量を減らす処理思想に反する考えはやめろ」との国民の声を真摯に受け止めるべきです。
地域、隣国、地球の環境を守るために、危険物質の排出は絶対に行ってはなりません。
政府の方針では2023年に海洋放出を予定していますが、放射性物質の保存方法、汚染水の処理方法や新しい技術の開発を急ぐなど、優先させるべき行動は他にあります。
全国漁業協同組合連合会が政府に提出した漁業者の不安を払拭する申し入れにも即刻回答すべきです。
本会は、いのちと健康を守る医師、歯科医師の団体として、トリチウム汚染水(ALPS処理水)の福島沖合への海洋放出の方針決定に断固抗議し、撤回を求めます。国内外の英知を結集し放射能汚染水無害化することを強く求めるものです。
以上