※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を発表し、厚労大臣及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:132KB])。

【要望書】補聴器購入補助等の改善をはじめ、
難聴(児)者への支援の拡充を求める要望書

2021年12月6日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 国民医療の確保に対するご尽力に敬意を表します。
 さて、聴力に障害があり、障害者総合支援法の身体障害者障害程度等級2級〜6級に該当する場合は、補聴器が「補装具費支給制度」の対象とされますが、軽度・中等度難聴(児)者については、「補装具費支給制度」の対象となっておりません。
 特に子どもにとって、聞こえは発達・学業にも大きな影響があります。また、成人にとっては仕事にも支障があり、老人にとっては、聞こえが認知症や命にかかわります。
 2017年7月開催の国際アルツハイマー病会議でランセット国際委員会は、難聴を認知症の危険因子の一つに挙げ、2020年には「予防可能な40%の12の要因の中で難聴は最も大きな危険因子」と指摘しています。難聴のためにコミュニケーションがうまくいかなくなると、人との会話をつい避けるようになってしまい、抑うつ状態に陥ったり、社会的に孤立してしまう危険もあるとされています。
 軽度・中等度難聴児に対する補聴器購入費等助成制度は、全ての都道府県で創設されていますが、自治体によって制度の内容が大きく異なっています。また、成人については、制度そのものがない自治体もあります。どこの自治体に住んでいても、軽度・中等度難聴(児)者に対して十分な補助が行われるべきです。しっかりとした補助を行うことで、子どもの発達や成人の仕事を支え、認知症予防にも大きな効果が期待できます。
 こうしたことから、下記の改善を求めます。

一、 聴覚障害者認定基準を国際基準(WHO)に緩和すること。
一、 国の財政負担により、軽度・中等度難聴(児)者等に対する補聴器の購入費及び修理・維持費に対する補助を実施すること。
一、 補聴器の購入費及び修理・維持費の対象に下記を追加すること。
@ 対象者に非難聴側が正常の片側難聴、高音急墜型、聴覚情報処理障害(児)者を加えること。
A イヤーモールド、両耳補聴器、無線式補聴援助装置、外耳形態異常に対する軟骨電動補聴器を購入費の補助対象とすること。
一、 先天性難聴の早期発見のため、全ての自治体で新生児聴覚検査への公費助成を実施するよう、国が財政的援助を行うこと。
一、 病気による難聴の予防のため、おたふくかぜワクチンの定期接種化や、風しんワクチンの第5期接種の周知徹底と延長を行うこと。
一、 診療報酬で言語聴覚士の業務をさらに評価すること。

以上

ホームニュースリリース・保団連の活動私たちの提言・意見