※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を発表し、厚労大臣及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:130KB])。

【要望書】HPVワクチン積極的勧奨「再開」決定を踏まえ、
子宮頸がんから命と健康を守る取り組みの強化を求めます

2021年12月6日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 前略 国民医療の確保に対するご尽力に敬意を表します。
 11月12日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬 事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)において「HPVワクチンの積極的勧奨再開」が決定し、11月26日に健康局長通知が出されました。関係者のご努力に敬意を表しますとともに、HPVワクチンの積極的勧奨再開によって子宮頸がんの罹患が減少し、かけがえのない命と健康が守られることを期待します。
 しかし、積極的勧奨再開にあたっては、治療・相談支援体制の強化、健康被害の調査・分析の充実を図らなければなりません。HPVワクチン接種後の健康被害に対する調査・分析や補償及び治療・相談支援体制の確立は、まだまだ不十分です。
 また、積極的勧奨の再開だけでは、子宮頸がんから命と健康を守るためには不十分で す。HPVワクチンによって防ぐことができるのは、現在定期接種となっている2価・4価ワクチンの場合で6〜70%と言われています。昨年7月に日本でも承認された9価ワクチンは90%程度の予防効果が期待されていますが、定期接種とはなっていません。
 子宮頸がんを予防するには、ワクチン接種と性に関する正しい知識、子宮頸がん検診が不可欠です。
 こうしたことから当会では、HPVワクチンの積極的勧奨再開を踏まえ、下記の全ての項目について、取り組みの強化を求めるものです。

一、 HPVワクチンの有効性はもちろん、接種後の健康被害も含めた最新の情報を、科学的な根拠に基づき被接種者及び保護者にわかりやすく提供すること。
一、 HPVワクチン接種後に発生した健康被害に対する相談窓口の拡充及び補償の充実、原因分析、並びに多様な症状を呈する患者さんの治療や相談・支援体制の強化を図ること。
一、 しばらくの間は、マイナンバーカードでの受診を希望する場合でも、保険証を合わせて持参することを呼びかけてください。
一、 子宮頸がん検診受診率100%をめざし、すべての方が費用の心配なく検診が受けられるようにし、広報を強化すること。また、検診を受ける人に負担のない検診方法を策定すること。
一、 15歳未満に対してCDCやWHOは、2回の接種で十分であるとしていることから、国内においても15歳未満については2回接種に切り替えること。
一、 9価ワクチンの価格の適正化を図り、早期に定期接種の対象に加えること。定期接種になるまでの間は、9価ワクチン接種の場合も4価の助成費用を適用し、差額のみ支払うことで実施できるようにすること。キャッチアップ接種で9価ワクチンを接種する場合も同様とすること。
一、 HPVワクチン定期接種の対象に男子も加えること。
一、 交際や性行為における同意、性感染症、避妊、デートDVなど、人権を含めた性教育をしっかりと行うこと。
一、 コロナ禍による定期予防接種ワクチンの接種期間の延長について、周知・徹底を図ること。
一、 予防接種施策を評価・検討する仕組み(日本版ACIP)を設立し、情報公開を含め予防接種施策の強化を行うこと。

以上

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