※全国保険医団体連合会では、2022年度診療報酬改定に対し下記の要請書を発表し、厚労大臣、同保険局長、同保険局医療課長及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:167KB]

【要請書】2022年度診療報酬改定に関する緊急改善要請書

2022年1月24日
全国保険医団体連合会
医科社保・審査対策部部長
武田 浩一
病院・有床診対策部部長
吉中 丈志

 貴職の日頃からの国民医療確保に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、2022年診療報酬改定に向けて中医協から「令和4年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理が示され、パブリックコメントの募集が実施されましたが、示された内容に看過できない問題があることから、下記の通り要請致します。

1.リフィル処方箋の導入はしないこと

 医師の診察を事実上薬局に委ねる形となるリフィル処方箋の導入は、患者の健康確保上から極めて問題が多い。また、今回のリフィル処方箋の導入提案に当たっては、中医協で一切議論されることなく大臣折衝の中で突然「分割調剤とは異なる形で」検討する旨が明記されており、導入ありきで議論を進めているものと言わざるを得ず、中医協軽視も甚だしいものがある。リフィル処方箋を導入する正当性は無く、次回改定での拙速なリフィル処方箋の導入には反対する。

2.初診からのオンライン診療は解禁しないこと

 過去に受診歴のない患者に対する「初診からのオンライン診療」は、あくまで「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的、特例的な取扱い」(4月10日事務連絡)において認められているのみである。にもかかわらず、現状は、デジタル化への集中投資として医療のマーケット化を画策する視点から、「初診からのオンライン診療」の恒久化の議論が進められている。このような推進ありきの議論は看過できない。そもそも保険診療上のルール、医療は対面が原則、ということからすれば、離島や僻地などへの患者の医療アクセス維持のため等の、医療機関へのアクセスが制限される解決困難な場合に行うべきであって、営利目的での拡大は医療の否定につながることを認識すべきである。また点数は据え置きとするべきである。

3.一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の見直しは行わないこと

 厚労省は一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について、「必要度の判定に係る評価項目を見直すとともに、入院料について評価の在り方を見直す」、「急性期一般入院料1(許可病床数200床以上)を算定する病棟について、重症度、医療・看護必要度Uを用いることを要件化する」との改定案を示したが、コロナ禍が収束していないことや、新興感染症に備える医療体制構築の議論が不十分な中で、基準の厳格化の実施は止めるべきである。

4.保険給付外しをやめること

(1) 湿布薬の処方制限を撤廃すること。枚数、グラム数、大きさ等、治療部位によっても使用する枚数が異なるため、1回の処方に係る算定枚数に上限を設けるのではなく、医師の裁量に任せるべきである。
(2) 紹介状なし受診患者等からの定額負担対象病院拡大をやめ、併せて保険給付範囲の見直しを行わないこと。今回の提案は一定額を保険給付範囲から控除し、代わりに同額以上に定額負担の額を引き上げて、患者より徴収する方針であり、実質上、初診・再診料を保険から外す保険免責制の導入であるため、止めるべきである。

以上

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