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乳幼児医療、「就学前」助成が大きな流れに



 厚生労働省担当課はこのほど、「乳幼児医療費に対する公費負担事業実施状況」(2005年4月1日現在)をまとめました。「実施状況」によると、「就学前」以上を助成する自治体は、通院で58.8%、入院で81.1%と増加していることが明らかになりました。

■「就学前」以上を助成、通院59%、入院81%の市町村に拡大

 「実施状況」をもとに保団連で作成した「市町村制度の状況・変遷」をみると、「就学前」以上を助成する自治体は、2.6%(1998年4月)から6割近くの自治体に広がったことがわかります。一方で、対象年齢を「2歳児」以下にとどめている自治体は493自治体(20.4%)に減少しました。(表1参照

 ◎通院:対象年齢別自治体数(%)

           2歳児以下  「就学前」及びそれ以上  

  1998年    79.2%     2.6%
  2000年    59.6%     9.9%
  2002年    39.0%    29.9%
  2004年    26.7%    44.4%
  2005年    20.4%    58.8%   

■自治体間の制度格差、一層拡大へ

 また、「就学前」以上を助成する自治体の割合を都道府県別に見ると、制度格差が広がっていることがわかります(表2参照)。通院では、低い順に青森県(0%)、愛媛県(0%)、鹿児島県(1.28%)など26府県で平均値(58.8%)に達していません。入院では、低い順に鹿児島県(1.28%)、沖縄県(6.12%)、奈良県(6.82%)など12県で平均値(81.1%)に到達していません。

 保団連も加わる「乳幼児医療全国ネット」では、助成対象を「就学前」以上とする自治体をすべての都道府県で4割、5割とする目標を掲げて運動しようと呼びかけています。同時に、自治体制度の格差を是正し、制度の水準を全体的に引上げるために、国による無料制度の創設を求めて運動しています。

■「所得制限なし」68%、「自己負担なし」51%に

 また、所得制限及び自己負担の有無では、「所得制限なし」は1,634自治体(67.6%)で、2001年4月の74.7%に比べ7ポイント減少しています。「自己負担なし」は1,239自治体(51.2%)で、2001年4月の62.6%に比べ12ポイントほど減少しています。

 対象年齢の拡大と引き換えに、都道府県段階で所得制限、自己負担の導入が行われており、都道府県制度の後退を市町村段階で食い止める運動も必要です。