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在宅療養支援診療所アンケート結果について
患者・医療機関双方に高いハードル



 保団連では、10月8日に開催した保団連医療研究集会において「在宅における終末期医療を検証する――在宅医療の普及と質の向上に向けて」を開催し、その一環として2006年9月、在宅療養支援診療所についてアンケートを実施しました。321の医療機関から回答があり、すでに届出を取り下げたケースもありました。

 結果からは、「24時間・365日」の対応を求める在宅療養支援診療所の施設基準と、医療制度改悪による高齢者の一部負担金の引上げにより、医療機関及び患者双方にとってハードルが高い実態が示されました。


アンケート結果の概要


○回収数 321件(2006年10月1日到着分まで集計)

○結果の概要

1、 届け出た医療機関の担当医の年齢は50代が最多で、40代、60代が次いで多い。

2、 届け出た医療機関のうち、無床診が約7割を占め、約9割が連携医療機関を持っている。
なお、連携医療機関の有無は有床・無床で大差はない。
また、届出医療機関のうち、寝たきり老人在宅総合診療料を届け出ていた

 医療機関が8割、そのうち9割弱が24時間連携加算を届け出ていた。

3、 在宅療養支援診療所の届出前と後で訪問診療料算定数の増減を聞いたところ、届出前より増えたのは2割にとどまり、6割強は「変わらない」と答えている。なお、1医療機関当たりの平均患者数は17人であった。

4、 在宅時医学総合管理料や往診料加算等については、在宅療養支援診療所は比較的高い点数が算定できるが、在宅患者の「8割以上」で高い点数を算定している医療機関は3割と少なく、4割強の医療機関では在宅患者の「5割未満」にとどまっている。
「意見欄」への記載128件のうち「患者負担」問題を指摘した意見は30件余りに上っており、患者負担が在宅療養の選択を制限し、利用者を狭めることから、届出をためらう声も聞かれた。

5、 届出以降にターミナルケア加算を算定した医療機関は111か所(3割台)で、そのうち10,000点加算を算定した医療機関は79となっている。

6、 届出をして「よかったと思う」は3割台で、「どちらとも言えない」が6割弱を占めた。

7、 今後の見通しについては「今後もやっていけそうだ」が3割弱にとどまり、「しばらくこのまま様子を見る」が7割弱にのぼった。在宅療養支援診療所の定着・拡大には難題を抱えていると言える。
  なお、すでに届出を取り下げたケースが1件あった。

8、 ネックとなっている問題について聞いたところ、「患者負担」を挙げた医療機関が5割台、次いで「労働時間」5割、「体制確保・人件費」4割となっている。意見欄においても「患者負担」を挙げる声が多数あった。
  これを担当医の年齢別で見ると、59歳以下では「患者負担」が最も多く、60歳以上では「労働時間・体力」が多くなっている。

○まとめ

 患者にとっては患者負担が在宅療養支援診療所利用のハードルを高くしており、労働時間、体制確保・人件費等の問題は、届出の敷居を高くしているとともに、体力及び経営的な理由から在宅療養支援診療所としての活動の継続に不安をもたらしているといえる。

以上