外来管理加算時間要件に関して
平成20年7月25日
全国保険医団体連合会会長 住江 憲勇
本年4月の診療報酬改定で外来管理加算に「概ね5分を超えて診察を行った場合」という時間要件が加わりました。
全国保険医団体連合会(保団連)は、外来管理加算の時間要件導入に反対する署名1万3257筆を集約し、厚生労働省に提出しました。しかし、政府、厚労省は改定を強行し、医療現場は大変な混乱に陥っています。
改定後の5月に実施した全国アンケート調査では外来管理加算の算定率は20%以上のマイナスとなり、想定される減収額は厚生労働省の試算を大きく上回るものとなりました。
これは不測の事態ではなく、改定前から予想されていたことであります。
時間要件の決定過程に疑念をもった保団連は、07年12月の中医協に提出された厚労省資料に対して情報開示請求を行い、この資料が「時間外診療に関する実態調査」のデータを不正に流用して作成されたことが判明しました。
不正流用は目的外に調査データを使用したことだけに止まりません。そもそも時間外診療の調査データを、全く関係のない外来管理加算の見直しに用いたこと自体が不正であり、中医協の議論をミスリードした許し難い行為であります。
ところが厚生労働省は不正流用の事実を認めないばかりか、保団連に対して文書番号、公印もない怪文書ともいうべき抗議文を郵送しました。保団連は、このような卑劣な厚生労働省の攻撃に屈することなく、抗議文に対する抗議文で毅然として応じました。
さらに、7月3日、保険局医療課に赴き、6月10日に提出した質問状に対する回答を求めたところ、返ってきた返事は「あれは、最初お互いの信頼関係があったので、そう申し上げたもの。不正流用でないと何度説明しても(保団連は)聞き入れず、今は信頼関係がない。よって回答しない」という官僚の発言とは思えない暴言でありました。
しかし、重要なのは、そのような抗議のやり合いよりも、むしろ、その過程を通じて本質論を明確にさせる事であります。すなわち、すでに提出している二十数項目の質問状に対する回答もきちんと出させる、そういう広がりにしていきたい。そして、厚生労働省が提出した誤ったデータによる中医協論議、これについても中医協の各委員の先生方に真実を正確に伝えたいと思っております。
このような状況下、7月9日の中医協総会において日本医師会の藤原淳委員が不正流用問題を鋭く追及し、外来管理加算時間要件に関する議論の再開を求められたことに保団連を代表して心より敬意を表します。
今や一刻の猶予もなく、検証部会まかせの来年回しにする訳にはいきません。保団連は全国の保険医協会、医会と一丸となって外来管理加算時間要件の撤廃という目標に向け、邁進する決意であります。
以上