在宅酸素療法の中断患者数調査02年10月から施行された老人医療の負担増で、在宅酸素療法を「経済的理由」で中断した患者さんが19都県だけで1,916人に上っていることが、本会が行った在宅酸素機器取り扱い業者さんへのFaxアンケートで判明しました。
在宅酸素療法とは、高度慢性呼吸不全などの患者さんが、家庭に設置した酸素濃縮装置や酸素ボンベを使って療養を行うもので、患者さんは全国に約12万人いるといわれています 高齢者の同療法の患者負担は02年9月までは1回850円、又は定率1割の月額上限3,200円(大病院は5,300円)でしたが、02年10月からの老人保健法改定で完全定率1割の約8千〜1万円に引き上げられました。 同法施行後、本会会員より「負担増のため在宅酸素療法を中断する例がある」との声が寄せられたため本会は、各県の保険医協会を通じて在宅酸素機器取り扱い業者さんに別紙のようなアンケート調査をFaxにて行いました。 アンケートは02年10月から03年7月末までの10カ月間で、在宅酸素療法を中断した患者さんは何人いるか、そのうち「経済的理由」で中止された患者さんは何人いるかを聞くものです。その結果、10カ月間の同療法中断者(入院、死亡等含む)は回答のあった19都県で10,367人いること、そのうち1,916人が経済的理由であることが分かりました。 在宅酸素療法を行っている医師会員によると、「負担増で在宅酸素療法を中断された患者さんは、医療機関への通院をやめ、呼吸困難をがまんして家にじっとしているしかない。家事も十分にできなくなることが多い。予後からみれば、寿命が短くなるのは避けられない。患者負担を元に戻してほしい」と述べています。 高齢者の患者負担は、月限度額を上回った場合、市町村の窓口で超過分の払い戻しを申請できる「高額医療費制度」がありますが、本会が自治体に行ったアンケートでは対象者の3割が未償還(制度を知らないなどの理由)になっている問題があります。 また高齢者の完全定率1割負担は、在宅酸素療法や悪性腫瘍など重症の患者さんほど負担増となる誤った制度と考えます。本会は高齢者の患者負担を元に戻すこと、最低でも医療機関窓口での月額上限制を復活すべきと考えます。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||