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小学校4割に口腔崩壊の子、 必要でも未受診半数超
〜学校歯科治療調査「中間報告」をマスコミ発表〜


全国保険医新聞2018年6月15日号より)

 

 

  全国保険医団体連合会は、全国の小中学校などに通う子どもの口腔状態や受診状況に関する調査結果を6月7日にマスコミ発表した。調査に答えた小学校の約4割(39.7%)で口腔崩壊(むし歯が10本以上あることなどから咀嚼が困難な状態)の子どもがおり、受診の必要があっても未受診のままの子どもが半数以上(52.1%)に上る。発表を受けて、NNN系列の情報番組で紹介された。子どもたちを受診につなげる取り組みが求められている。

 

 発表した結果は、小中学校などで行う歯科検診の結果や検診後の対応などを21都府県の協会・医会が調べ、保団連が集計したものだ。
 小学校の口腔崩壊事例では「乳歯20本全てがむし歯未処置。給食はハサミ等で細かく切って提供していた」(新潟)「歯の根しか残っておらず、給食で硬いものが食べられない」(山口)など深刻なケースが寄せられた。
 口腔崩壊や未受診が生じた要因では、「受診しない理由は経済的な理由。『乳歯だから』と放置する家庭や、ネグレクト的な家も」(長野)「保護者の仕事が忙しいのを理由に受診しない。母子家庭で経済的にも困窮」(宮城)などがあった。▽経済的な問題▽親の労働環境▽ネグレクトの傾向▽口腔ケアへの意識―などの条件が絡み合う事例が目立った。
 経済的な問題については、現在、8割の自治体で中学卒業まで外来の医療費助成があるが、償還払いや数百円の定額負担制など自治体によって状況が異なる。東京歯科協会の調査では、200円の定額負担がある自治体では口腔崩壊の子どもがいる小学校は50%で負担のない自治体より約20ポイント多い。検診後に受診した子どもの割合も定額負担があると10ポイント低い約52%だった。数百円の窓口負担が子どもの口腔状態に影響すると推測できる。

 

子どもの口腔状態の二極化

 近年、口腔ケア意識の高まりに伴って子どもの口腔状態は大きく改善している。厚労省の学校保健統計によれば、この20年間でむし歯のある子どもの割合は約83%から約37%に、1人あたりの永久歯のむし歯等は平均3.34本から0.82本に減少した。協会・医会の調査は、こうした状況から取り残された子どもがおり、口腔状態が二極化していることを示している。
子ども医療費助成の拡充、貧困対策や親の働き方改善、口腔ケアに対する認識をさらに高めることを通じて、必要な受診ができていない潜在的な歯科医療ニーズを受診につなげる取り組みが必要だ。

 

子どもの歯科矯正を保険で

保険適用拡大を願う会・小尾直子さん

 子どもの歯科矯正の保険適用拡大を求めて活動する小尾直子さん(写真)。子どもが学校検診で歯並びの問題を指摘されたのが活動のきっかけだという。現在の取り組みと思いを聞いた。

 

学校で治療勧告

  息子が中学生のとき、学校の歯科検診で歯列の問題を指摘され、受診した上で必要なら治療を受けるように勧告されました。しかし、歯科矯正の多くは保険適用外の治療です。経済的な問題から必要な費用を用意することはできず、息子が高校2年生になった現在も治療を受けさせてあげられずにいます。
 検診を受けると「結果のお知らせ」を子どもが持ち帰ります。要受診の場合、それをもって歯科診療所に行き受診結果を先生に書いてもらって学校に提出しなければなりません。歯科矯正を受けさせてあげられないため、検診のたびに同じ勧告を受けました。治療を受けられない事情を知っている先生に毎回「経過観察中」と書いてもらって提出していました。
 学校で行う検診で治療するよう勧告するにも関わらず、いざ行くと多くの歯科矯正が自由診療で高額な費用がかかることに患者として矛盾を感じていますし、子どもに必要な治療を受けさせてあげられないことが親として悲しいです。

 

患者・歯科医師が喜び合える未来

 自身の治療のため通っていた診療所で「保険で良い歯科医療を」全国連絡会が呼び掛けている、保険の効く治療の拡大などを求める請願署名の取り組みを知り、少しでも力になれればとの思いから、独自で団体を立ち上げ活動するまでになりました。
 5月末には日本学校歯科医会と文科省を訪問し、子どもの歯科矯正の保険適用拡大を求めるとともに、理解と協力のお願いをしてきました。今後は、医療保険制度を管轄する厚労省と学校検診を所管する文科省同席のもとで話し合う準備をしてもらっています。
 これまで活動を続けてきた中で、歯科医院の経営の厳しい実態も知るようになりました。私たち患者と先生方が互いに喜び合えるよう、歯科医療保険制度の充実を実現させる活動をこれからも続けていきます。

以上