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診療報酬 不合理の声 現場から
―保団連 改善要求を議論開始―


全国保険医新聞2018年9月25日号より)

 

 

 診療報酬の改定について、医療現場から出された矛盾や不合理の声を紹介する。保団連は秋から、2020年の改定に向けた改善要求の議論を進める。これに向けて、医療現場で生じている矛盾や不合理を各保険医協会・医会を通じて寄せてもらえるよう呼び掛けている。

 

改定「評価しない」半数超 ― 岐阜協会アンケート

 岐阜協会では4月に医科会員を対象に診療報酬改定アンケートを実施した。回答は253件(回答率29.5%)。岐阜協会は寄せられた声を保団連東海ブロックで予定する厚労省要請に反映させていく。
 アンケートでは、▽今次改定全般▽機能強化加算の新設▽抗菌薬の適正使用の点数化、要件化▽複数医療機関による訪問診療の点数化▽ベンゾジアゼピン系薬剤の長期処方の適正化▽オンライン診療の点数化―についての評価と意見を聞いた。
 改定全般への評価については「全く評価しない」「あまり評価しない」が合わせて53.0%となり、「大いに評価する」「ある程度評価する」(28.9%)を大きく上回った(図)。ベンゾジアゼピン系薬剤の長期処方の適正化の評価については、「全く評価しない」「あまり評価しない」が合わせて59.3%、「大いに評価する」「ある程度評価する」が合わせて29.6%という結果であった。影響の大きさがうかがえる。
 自由意見記入欄では、 「初・再診料など基本診療料を引き上げるべき」「改定のたびに複雑となる点数表を分かりやすくしてほしい」などの意見が目立った。

 

寄せられた声

■普段、「かかりつけ医」と自認し、往診、訪問診療、在宅看取り等も行っているが、保険診療上は「かかりつけ医ではない(かかりつけ医と認められない)」ことが残念だ。ベンゾジアゼピン系薬剤の取り扱いにも理不尽さを感じる。当院のような医療過疎地では各科にわたる患者が訪れる。当然、うつ病、心身症の患者もいる。時間を掛けて診察し挙句の果てが処方箋料の減額では国の無慈悲さを感じる。診察料と処方箋料に頼っている当院では処方料の減額は死活問題だ。(70代・開業医)

■医療機能の分化、強化というが、よりよい社会保障制度につながるのかとても疑問。その中で前を向いて努力していきたい。(50代・開業医)

 

在宅推進・普及に課題 ― 島根協会アンケート

 島根協会は5月、在宅療養支援診療所・病院(支援診療所・病院)、在宅時医学総合管理料を届け出た173件の会員医療機関を対象にアンケートを実施した。在宅医療を担う医療機関が今回の在宅医療点数の改定をどのように受け取っているかを知ることが目的だ。
 今回の改定では、訪問診療を行う医療機関からの依頼により他医療機関も訪問診療を行えるようになったが、「月1回」に制限された。この制限について「妥当と思う」は29%、「月1回では足りないと思う」が56%だった。複数医療機関による訪問診療で在宅医療の連携が進むかどうかについては、「非常に進むと思う」「ある程度進むと思う」の合計36%に対し、「あまり進まないと思う」「全く進まないと思う」の合計は52%であった。 
 今次改定では在宅時(施設入居時等)医学総合管理料が一層細分化された。これについて、「非常に評価する」「ある程度評価する」の合計31%に対し、「あまり評価しない」「全く評価しない」の合計は54%だった。
 今次改定が総合的に、今後の在宅医療・地域包括ケアの普及・推進に資するかどうかについては、「非常にそう思う」「ある程度そう思う」の合計27%に対し、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」の合計は58%という結果になった(図)。
 アンケートでは最後に、島根県全体として地域包括ケアを構築し、在宅患者に対応することが可能かどうかを聞いた。島根県では開業医の高齢化・後継者不足が大きな課題となっている。そのことも反映したのか、「十分可能であると思う」「何とか可能であると思う」の合計23%に対し、「かなり難しいと思う」「非常に難しいと思う」の合計は65%にのぼった。
 島根協会では、真の地域包括ケアの理念が実現されるよう、アンケートの結果を、診療報酬改善や行政当局への要請等に生かしていくとしている。

以上