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2019年参議院選挙 識者に聞く                   

空の平和、陸の静穏、水の安全を

沖縄大学客員教授・弁護士 小林 武
全国保険医新聞2019年6月15日号より)

 

 7月の参議院選挙で問われる課題について、各分野の識者にシリーズで聞く。沖縄県名護市辺野古沖では新基地建設が進められており、国は基地建設反対の沖縄県民の民意を顧みず、辺野古への土砂投入を継続している。沖縄大学客員教授の小林武氏に沖縄の基地被害の現状を寄稿してもらった。

 

ハンマーで内臓をたたかれる爆音

 5月15日に沖縄祖国復帰から47年を迎えた。参院選は、沖縄の米軍基地問題を決着に向かわせる重要な機会である。
 在日米軍施設の70%強が、県土面積が全国の0.6%に過ぎない沖縄県に集中し、人々の生命と人間の尊厳を脅かしつづけている。とくに、米軍機の墜落やその部品の落下、米軍人の起こす事件・事故に加えて、基地から有害物質(有機フッ素化合物PFOS/PFOA)が 流出して、県民の使う水道水が汚染の危機に瀕している。
 加えて、米軍機の爆音はむしろ最近一層ひどくなっている。ひとつの体験を記すなら、私は、先月16日、普天間基地隣接の普天間第二小学校で、夜間7時台、内臓を直接ハンマーでたたかれるような爆音に見舞われた。
 米軍は、空の平和、陸の静穏、そして水の安全まで奪っている。もはや、市民生活と共存することはできず、選択肢は米軍基地撤去しかない。
 政府は辺野古基地建設を強行しているが一片の道理もない。「普天間の危険性除去」が政府の口実であるが、それならば即時、普天間基地を閉鎖・撤去するのが筋である。
 日米政府の意図は、強力な機能を備え200年もの長期使用に耐える新基地を辺野古に造ること、普天間基地も必要な限り使用しつづけることにある。沖縄県民はこれを見抜き、いずれの選挙でも、県民投票でも一貫して「辺野古許さず」の意思を明瞭に示してきた。
 安倍政権は、この沖縄の民意を受け容れようとはしない。沖縄県民投票(2月24日実施)の翌日、安倍首相は、「新基地建設は推進する。先送りは許されない」と発言し、辺野古への土砂投入を止めなかった。その翌日には、岩屋防衛相が、「沖縄には沖縄の民主主義があるが、国には国の民主主義がある」と発言し、沖縄の民意を公然と切り捨てた。
 憲法を投げ棄てた安倍政権ならではの姿勢である。

 

辺野古中止が野党の共通政策に

 7月参院選は、沖縄の平和を守るためにも重要な機会だ。5月29日、市民連合と5野党・会派と合意した「共通政策」には「辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行うこと。さらに、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること。日米地位協定を改定し、沖縄県民の人権を守ること。また、国の補助金を使った県下の自治体に対する操作、分断を止めること」と記された。沖縄県民の要求に合致したものである。
 この政策合意のもとに5野党・会派が多数になれば辺野古新基地建設中止の展望が切り開かれる。

以上