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医療改善を選挙政策に―参院選に向け野党4党と懇談

全国保険医新聞2019年6月25日号より)

 

 6月11日に公表された「骨太の方針2019」原案では、患者負担増について具体的な記述は書き込まれなかった。政府・与党は、負担増を先送りにして国民の目から隠し、選挙の争点化を避ける狙いだ。負担増を止めるために世論を大きく広げ、参院選の争点に押し上げることが必要だ。保団連は、参院選を前に野党4党と懇談し、75歳以上の窓口負担2割化阻止などの緊急要望を手渡し、選挙政策に盛り込むことを要請した。

 

立憲民主党の石橋参院議員(中央)、
尾辻衆院議員(右から2番目)に
要請書を手渡す役員ら
国民民主党の岡本衆院議員(左)
共産党の笠井衆院議員(右)
社民党の福島参院議員(右)

 各政党に対し住江憲勇会長は、「貧困と格差が拡大し、患者の治療中断や受診抑制が起きている。時事通信の世論調査では、消費税が10%に増税されたら家計を見直すと回答した人の約6割が、食費を削るとしている。国民はいのちや健康を削りながら生活せざるを得ないところまで追い込まれている。社会保障は本来、政府が最優先で歳出すべき分野だ。市民連合と5野党・会派の13項目の政策合意の中に社会保障が盛り込まれたことを歓迎するとともに、共通政策をより具体的に発展させていくことに期待する」とした。その上で、参院選後に狙われている75歳以上の窓口負担2割化などの患者負担増を止めること、子どもや妊産婦の医療費無料化、高額療養費制度の改善などを選挙政策に盛り込むことを要請した。

 

安易な負担増には対峙 ― 立民

 立憲民主党では、党政務調査会厚生労働部会長の石橋通宏参院議員、同事務局長の尾辻かな子衆院議員と懇談した(6月10日)。
 尾辻議員は、「社会保障を充実し、いかに国民生活を守っていくかが大事だと考えている。医療でも介護でも高齢者の負担増が続いている。窓口負担が2倍になってしまったら高齢者の生活は成り立たない。負担を国民に押し付けていく方向性は何とか止めていかなければならない。安易な負担増にはしっかり対峙していきたい」と述べた。また、保険料があまりに高くなりすぎて所得再分配の機能が働いていないと、国民健康保険制度の改善にも理解を示した。今回の緊急要望の項目はしっかり受け止め部会で議論していきたいとした。

 

社会保障充実は政治の「王道」 ― 国民

 国民民主党との懇談は政務調査会厚労・文科・消費者部会長の岡本充功衆院議員が応対した(6月4日)。岡本議員は住江会長の要請に対し、社会保障の充実は「(政治の)王道」と応じ、社会保障充実の政策を進めることに賛意を示した。
 妊産婦の医療費無料化を国の制度として実施することについて岡本議員は、妊婦加算が患者負担につながらない「良いアイデア」だとしつつ、財政影響や助成期間が課題となるとの認識を示した。また、窓口負担と同時に通院手段の確保が深刻な問題であり、対策を検討したいと述べた。
 住江会長は、高齢者の医療機関へのアクセスを保障するためにも、身近な地域の診療所の経営を安定させる診療報酬の引き上げが必要と訴えた。
 岡本議員は参院選に向け、共通政策の基本合意にとどまらず、選挙の結果につなげたいと市民と野党の共闘の前進に決意を示した。

 

要望項目、既に政策に ―共産

 日本共産党は、党政策委員長の笠井亮衆院議員が応対した(6月13日)。笠井議員は、「安倍政権の下で国民のいのちと暮らしが蔑ろにされている。市民と野党で力を合わせてこの安倍政治を終わらせたい。市民連合と5野党・会派での共通政策の合意と一人区での候補者一本化はそのスタートであり、必ず勝利したい」と決意を述べた。
 また、緊急要望項目の一つひとつが非常に大事だと応じ、実現に向けて力を尽くしたいと話した。その上で、子ども医療費無料化を国の制度として実施、公費1兆円投入で国保料を抜本的引き下げ、高額療養費制度の限度額の設定を「月ごと」から「治療ごと」に改めることなど、今回の要望に沿った具体的な政策をすでに掲げていることを紹介。野党の中でさらに一致点を広げていきたいと述べた。

 

社会保障の再分配機能強化を―社民

 社民党副党首の福島みずほ参院議員とは6月17日に懇談。要請に対し福島議員は、「老後に2000万円の蓄えが必要とした金融庁金融審議会の報告書の問題の根底には、雇用破壊がある。雇用の建て直しとともに、社会保障の再配分機能の強化をはかることが重要だ」と述べ、緊急要望の内容に賛意を示した。
 また、地方を回る中で医師不足の深刻な実態を見聞きしており、患者が必要な医療が受けられるよう地域医療を立て直す必要があると述べた。
 参院選で年金や医療・介護、高い学費など、私たちの暮らしの問題で世論を喚起して勝利し、さらに安倍政権の一強体制を崩し改憲を阻止したいと強調した。

各党に申し入れた緊急要望項目
患者負担を増やさないでください
75歳以上の窓口負担を原則1割から2割にしないこと
受診するたびに100円〜500円を窓口負担に上乗せしないこと
痛み止めなど、薬の「保険はずし」や患者負担増を行わないこと
お金の心配なく安心して受診できるよう、窓口負担を軽減してください
子どもと妊産婦の医療費を無料化すること
中学卒業までをめざし、当面、就学前まで国の医療費無料制度を早期に創設すること
妊産婦の医療費無料化を、国の制度として実施すること
高額療養費制度の改善
高齢者(70歳以上)の負担限度額について、改変前(2017年7月)の水準に戻すこと
外来枠(個人毎)を全年齢に拡大するとともに、負担限度額を引き下げること
外来特例は、2002年に月額上限を廃止し定率1割負担を徹底した際の負担軽減策として導入された。
月をまたぐと合算できない問題について、少なくとも1カ月未満の入院について入院開始日から1カ月単位の起算とするなど改善を図ること
難病医療費助成制度・小児慢性特定疾病医療費助成制度の改善
中学卒業までをめざし、当面、就学前まで国の医療費無料制度を早期に創設すること
妊産婦の医療費無料化を、国の制度として実施すること
被災者の医療費免除
中学卒業までをめざし、当面、就学前まで国の医療費無料制度を早期に創設すること
国民健康保険制度の改善
保険者努力支援制度を廃止し、国保国庫補助率を医療費総額の45%に戻すこと
地方単独医療費助成事業に対する調整交付金減額を廃止すること
保険料を応能負担方式に改めること。特に子どもに係る均等割は即時廃止すること
一般会計からの法定外繰入の維持・拡大を認めること
資格証明書や短期証の交付を止め、正規の被保険者証を交付すること
ワクチン行政の改善
必要なワクチンが接種できるよう、窓口負担を無料化すること。卸価を適正化すること
風疹やインフルエンザをはじめとしたワクチンの確保に国が責任を持ち、ワクチン供給体制の安定化をはかること
予防接種施策を評価・検討する仕組み(日本版ACIP)を創設すること

 

 

以上