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自民 公約に改憲明記 「憲法改正権、政府や議員にはない」
弁護士・伊藤塾塾長 伊藤真氏に聞く

全国保険医新聞2019年7月5日号より)

 

 7月の参院選で自民党は憲法改正を公約に盛り込んだ。改憲をはじめ参院選の論点を、弁護士で伊藤塾塾長の伊藤真氏に解説してもらった。

 

政権の評価問われる

伊藤 真氏

 7月21日に行われる参議院議員通常選挙は、安倍政権への評価が問われる選挙である。
 14年、9条の政府解釈を変更した安倍内閣は、翌年、安全保障法制を強行採決し、集団的自衛権の行使、駆け付け警護、多国籍軍への支援等を可能にした。これを受け、護衛官「いずも」の空母化、F35戦闘機など攻撃的兵器の爆買い、イージス・アショアの配備など米軍との一体化が進んだ。軍事費は年々増加、19年度は過去最高の5兆2574億円となり、後の若い世代が負担する「ツケ払い」の累積額も5兆3613億円にのぼった。他方、生活保護費、診療報酬、介護報酬は切り下げられ、さらに金融庁は、老後の夫婦生活に2000万円の蓄えが必要であるとし、「年金100年安心プラン」は反故にされた。さらに年金積立金が株に投資され、約1割の14兆円を超える含み損を生んでいる。
 集めた税をどう使うか、その分配こそ政治で最も重要なテーマである。国民生活を犠牲にし、若い世代にツケをまわし、軍備にお金をつぎ込む政治を今後も続けてよいのだろうか。

 

民意伴わない

 自民党は参院選の選挙公約に改憲を明示した。自衛隊の憲法明記ほか4項目につき、早期の憲法改正を目指すという。選挙に勝てば、改憲こそが民意だとしてそれを強気に進める狙いである。
 しかしそもそも、憲法改正権をもつのは、国民であって国会議員や政府ではない。本来の改憲は、まず世論が改憲の必要性を議論し、それを受けて国会議員が発議し、国民投票で確定させるものである。改憲が議員の責務であるかのような発想、ましてや、最も強い権力をもつ行政のトップが、早期の改憲を目指すなどという暴挙は、憲法への無理解の証しであり、明確な憲法尊重擁護義務違反というほかない(99条)。
 現に、朝日新聞による今春の調査では、「改憲の気運が高まっていない」が自民党支持層で61%、無党派層で77%、9条につき「変えないほうがよい」が64%であった。
民意が伴わない改憲の発議は、これを阻止する必要がある。それには、各院で3分の1以上の議席を反対勢力がとることである。そのハードルの第1は、有権者が投票に行くこと。「争点がわからない」「自分に直接関係ない」等の理由で、最近の国政選挙は50%程度の投票率にとどまる。これでは民主主義は機能しない。第2は、野党が同選挙区で競合しないように調整すること。市民と各野党が共闘するためには、野党各党が小異を捨て、大同に就くことだ。

以上