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無給医問題の解決探る
―DDがシンポ「国の責任で改善を」―

全国保険医新聞2019年11月15日号より)

 

 

 保団連の住江憲勇会長、宇佐美宏歯科代表が呼びかけ人となっているドクターズ・デモンストレーション(DD)実行委員会は10月19日、東京都内で「無給医問題シンポジウム」を開いた。医療関係者ら64人が参加し、無給医問題の実態を共有し、解決の展望を探った。

 

文科省の公表よりも多い

講演する長野協会の宮沢会長

 住江会長はあいさつで、国の責任で実態把握と改善を訴えた。
 シンポジウムでは長野協会の宮沢裕夫会長(前松本歯科大学教授)が、歯科無給医の実態と背景を報告した。
 6月に文部科学省は、大学病院の医療現場で診療行為をしているにもかかわらず、賃金が支払われていない無給医師・歯科医師の実態に関する調査報告を公表した。調査対象108病院のうち50病院で無給の医師・歯科医師がおり、3万1,801人中2,191人が「無給医」であることが判明した。歯科の無給医は調査対象2,145人中694人と、3割を超えている。
 報告の中で宮沢氏は、文科省の公表数値には、歯学部をもつ国立大学病院などの歯科医師数がカウントされていないことから、「無給の歯科医師はもっと多いのではないか」と指摘。また、大学での歯科医師養成過程の特殊性や歯科医療費抑制策にも触れ、歯科医療技術の修得が「丁稚奉公」的に行われ、「弱い立場にある専攻医が無給になりやすい」と述べた。

 

「やりがい搾取」の実態つかみ、世論に

 過労死問題に取り組んでいる松丸正弁護士は、「過労死の背景に無給医の問題がある」と指摘。「賃金不払いは刑事罰の対象。実態を示して声を上げ、労基署を動かすことが解決の道」と指摘した。医科大学院生である息子を過労死で亡くした遺族は、「人並みの生活ができる給与が支払われていれば、過労死は起きなかった」と訴えた。
 市橋耕太弁護士は、「無給医」にもさまざまな形態があると指摘。支払われた給与と同額がカットされる場合や、支給額が極めて低額であるといった実態があると報告した。
 匿名で発言した卒後14年目の勤務医は、無給医の問題を「やりがい搾取」と指摘。大学が「ブラック企業」になることで維持されている日本の医療や医学のあり方に疑問を呈した。
 医師ユニオンの植山直人代表は、博士号等の資格と引き換えに無償の労働提供を強いられていると指摘。ILO(国際労働機関)などにも働きかけ、世論を動かす取り組みが必要と強調した。医師ユニオンでは実態調査を実施し、その結果を踏まえ厚労、文科両省に是正を求めていくとしている。

以上