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歯科技工問題、ともに解決を
技工士、歯科医師、養成学校関係者らで集会

全国保険医新聞2020年2月15日号より)

 

与野党議員ら 「超党派で取組必要」

雨松氏の報告を聞く参加者
与野党の国会議員が集会であいさつした
歯科技工問題の解決求めるフロア発言に
賛同する参加者

 歯科医療に欠かせない義歯などの技工物を作る歯科技工士が深刻な低収入や長時間労働に陥っている問題で、全国保険医団体連合会(保団連)も加わる「保険で良い歯科医療を」全国連絡会は1月30日、国会内で歯科技工問題を考える集会を開催した。全国の歯科医師・医師、歯科技工士ら230人が集まり、歯科技工士の処遇改善や低歯科診療報酬の打開などを求めた。集会であいさつした30人の与野党国会議員らは、党派を超えた取り組みが必要と応じた。集会では歯科診療報酬引き上げと歯科技工取引のルール確立を求めるアピールを採択した。

 

政治動かそう

 全国連絡会の雨松真希人会長(歯科技工士)が基調報告し、「歯科技工問題解決のため政治を動かそう」と訴えた。
 雨松氏は、歯科技工の実態について、新卒5年で75%の歯科技工士が離職、3人に1人が過労死ラインを超えて働いていると紹介。また、歯科技工士養成校の廃校、募集停止が続き、養成校は20年前の72校から47校にまで減少していると話した。その上で、「原因は安すぎる歯科技工料」にあると指摘。低い公定価格が市場の競争でさらに引き下がり歯止めが利かなくなる現行システムの改善を求めた。
 また、厚労省要請で歯科診療報酬の引き上げ、7対3大臣告示の徹底、委託技工取引の実効的なルール確立を求めてきたことを報告。党派を超えて歯科技工問題の解決を求めようと訴えた。

 

人材流出、歯科医療崩壊につながる

 集会で静岡協会の山田美香副理事長は、「日本人歯科技工士の海外での評価が高く引っ張りだこだ。日本の劣悪な環境のせいで優秀な歯科技工士が海外に流出することは大きな損失」と指摘した。三重協会の梅村忠司副会長は、「歯科技工士あっての歯科医療」と委託技工料の改善を求めた。山口協会の深井修一理事は、「歯科技工士がいなくなると歯科医療の崩壊につながる」と発言し、低歯科医療費政策の改善の必要性を強調した。その他、歯科技工士養成機関関係者や歯科技工士会などから発言があった。
 集会には、日本歯科技工士会をはじめ地区歯科医師会、各県の歯科技工士会、歯科技工士養成機関、国会議員から26通のメッセージが寄せられた。保団連の宇佐美宏歯科代表が、日本歯科技工士会からのメッセージを読み上げた。
 閉会あいさつで全国連絡会副会長の岩下明夫氏は、「歯科技工士が夢のある職業となるよう環境改善が急務だ。技工士養成校や技工士を目指す学生も巻き込み要求実現に向けて取り組みを強めよう」と訴えた。


歯科技工士の処遇改善を―診療報酬大幅引き上げ不可欠

 

 第5回歯科技工問題を考える国会内集会では、歯科医師、歯科技工士、歯科技工養成学校の立場から発言があった。発言要旨を紹介する。

保険で補綴物製作いなくなる
奈良県歯科技工士会会長 小野山 幸夫氏

 歯科技工士は何に困っており、どういう形で解決されるべきかをぜひ知ってほしい。歯科技工料が低すぎて歯科技工士は低賃金で長時間労働を強いられている。このままでは保険診療で補綴物を製作する技工士がいなくなる。大臣告示7対3ルールの徹底や歯科技工士へ直接報酬が支払われるルール整備が必要だ。

一番困るのは患者さん
大阪技工士連絡会 西川勝美氏

 7対3ルールは歯科材料も含めた取引ルールとの誤解もあるが、技術料だけの取引ルールだ。
 技工士がいなくなり技工物が作れなくなり一番困るのは患者だ。患者さんのためにも歯科技工士の処遇改善が必要だ。

院内技工士も正当に評価を
健生会相互歯科 歯科技工士 中村隆之氏

 院内歯科技工士は診療報酬でほとんど評価されていない。入れ歯を1日100個ぐらい修理しないと人件費を捻出できない。院内技工士も正当に評価されるよう取り組んでいきたい。

技工士の海外流失は大きな損失
静岡協会副理事長 山田美香氏

 米国で働く知人の歯科医師によると、渡米して働く日本人の歯科技工士が増えており、日本人技工士の技術力は現地で評価も高く引っ張りだことのことだ。日本の低賃金に見切りをつけ報酬が高い海外で働いている。日本の優秀な歯科技工士が海外に流出していることは大きな損失だ。歯科技工士の低賃金を改善してほしい。

歯科技工士あっての歯科医療
三重協会副会長 梅村忠司氏

歯科医師も自分で技工物を製作するなど技工士の大変さを知る必要がある。
フルオーダーのインレー製作には大変な労力と時間が必要だが、技工料の平均単価はわずか1000円に過ぎない。
歯科技工士あっての歯科医療であり、技工士がいなくなると技工物を自分で作らないといけなくなる。適正な歯科技工料が支払われるよう歯科医師と歯科技工士が協力していこう。

厚労省と現場の認識は乖離
山口協会理事 深井修一氏

 歯科技工士がいなくなると歯科医療は崩壊する。
 歯科技工問題は「経済問題」であり、7対3の大臣告示を徹底し、技工士が生活できる技工料が支払われるよう技工点数を引き上げることが重要だ。金パラ逆ザヤ問題での対応と同様に厚労省の認識と現場の実態はかけ離れている。技工点数の引き上げや技工士の処遇改善に取り組もうとしない。
 このままでは歯科医院は歯科技工士を雇うことができない。マスコミや世論に訴えていこう。

健康寿命延伸に役割果たせない
宮城・東北歯科技工専門学校 八巻賢一氏

8020運動をはじめ日本の歯科医療は、国が掲げる「健康寿命の延伸」「生涯現役社会」実現のため大きな役割を果たしてきた。しかし、歯科医療を支える歯科技工士は激減しており、国の少子高齢化社会対策にも大きな影響を与える。
 50歳以上の歯科技工士が半数を占め、20代の歯科技工士が12%しかいない。歯科技工学校の入学者数は2005年からの15年間で2,281人から927人に、学校数も68校から47校に減少し、存続の危機を迎えている。
 歯科技工士は国民の健康と福祉に貢献できるやりがいのある職業だが、インレーのフルオーダーで精巧な歯の詰め物が平均1,000円と技工物の点数が低すぎるため、歯科技工士は低賃金・長時間労働を強いられている。
 低すぎる技工料保険点数の改善、介護現場で歯科技工士が義歯調整等を行う際の診療報酬の評価、技工養成学校へのサポートなどを要望したい。

 


集会あいさつ・メッセージ一覧(議員・団体)

 歯科技工士問題を解決する集会では30人の国会議員があいさつした。また、10団体と国会議員19人からメッセージが寄せられた。団体・議員名を紹介する。

集会あいさつ
 自由民主党
木村次郎(衆)/小寺裕雄(衆)/島村 大(参)/自見はなこ(参)/三ッ林裕巳(衆)/宮ア政久(衆)/宮下一郎(衆)
 立憲民主党
逢坂誠二(衆)/松田イサオ(衆)/村上史好(衆)/森山ひろゆき(衆)/山本わか子(衆)/吉田つねひこ(衆)
 国民民主党
青山大人(衆)/大島 敦(衆)/大西健介(衆)/木戸口英司(参)/源馬謙太郎(衆)/谷田川元(衆)/横沢高徳(参)
 日本共産党
倉林明子(参)/小池 晃(参)/清水忠史(衆)/宮本 徹(衆)
 無所属
嘉田由紀子(参)/小西洋之(参)/田嶋 要(衆)/芳賀道也(参)/初鹿明博(衆)/柚木道義(衆)

 

メッセージ(団体・議員)
 団体
日本歯科技工士会/宮城県歯科技工士会/千葉県歯科技工士会/奈良県歯科技工士会/山口県歯科技工士会/大分県歯科技工士会/沖縄県歯科技工士会/下関市歯科医師会
 個人
岩手医科大学医療専門学校教員 三善 匠/東北歯科技工専門学校教務部長 八巻賢一/東北歯科専門学校教務主任 熊田恭夫
 議員
自由民主党 江島 潔(参)/辻 清人(衆)/三ッ林裕己(衆)
立憲民主党 岡島一正(衆)/熊谷裕人(参)/佐々木隆博(衆)/塩村あやか(参)/田島まいこ(参)/長谷川嘉一(衆)/牧山ひろえ(参)/山川百合子(衆)
国民民主党 青木 愛(参)/奥野総一郎(衆)/小沢一郎(衆)
日本共産党 伊藤 岳(参)/武田良介(参)
無所属 小西洋之(参)/桜井 充(参)/馬淵澄夫(衆)

 

以上