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医療現場にマスクを 新型コロナ感染拡大防止

全国保険医新聞2020年3月25日号より)

 

 新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、一般医療機関での感染防止の重要性が増している。しかし、医療現場ではマスクや消毒剤など衛生材料が不足しており、院内感染防止は危機的な状況にある。基礎疾患を有する患者は新型コロナ感染により重症化することが報告されており、かかりつけ患者への院内感染防止のためにも一刻も早く医療現場にマスク等を安定供給することが必要だ。

 

 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は、2月25日に重症者向けに医療体制を確保するため、風邪など症状が軽い人には自宅療養を求めた。今後患者数が大幅に増えた状況では、一般医療機関にも感染対策を講じた上で、新型コロナウイルスへの感染を疑う患者の受け入れを求めることとしている。
 保団連は、2月27日に医療機関での感染拡大や院内感染防止のため財政支援や休診時の休業補償等を要請した。医療現場のマスク等不足について2月6日と3月9日に▽マスク製造企業等による安定供給▽国・自治体備蓄分の放出▽感染症病床確保と財政支援―等を要請した。(当会の新型コロナウイルス感染症対策特集はこちら

記者会見する住江会長(左)と山崎理事(右)

 さらに保団連は、3月16日に緊急記者会見を実施。各協会のマスク等不足状況に関する実態調査を紹介し、医療現場にマスク等の安定供給を訴えた。新型コロナの影響で地方厚生局による診療報酬改定ルールの周知が困難となる中、改定実施の延期を求めた。
 政府はコロナの緊急対策で5,000床超の病床確保を掲げる一方で、本来感染症対策を担うべき公的・公立病院の統廃合も求めている。会見でこの矛盾を指摘し、その上で一般医療機関も含めて感染症対策が可能となるよう防護具の供給と診療報酬の引き上げなど財政措置を求めた。

 

マスク不足で緊急調査 各協会が県へ要請

 新型コロナウイルスの感染が広がり、医療現場ではマスクや衛生材料、消毒液等が不足し、入手困難だ。特に歯科医院にとってマスク切れは死活問題となる。
 3月中旬までに19の協会でマスク等不足に関する会員緊急調査や各県要請が行われた。
 緊急調査では、医科・歯科ほとんどの会員医療機関でマスクや消毒液等が不足しており、購入の見通しが立たない中、在庫切れが時間の問題となっている。協会の調査や県への要請は、マスコミや新聞各紙で報道され、医療機関向けに自治体備蓄分が活用されるなど成果も生み出している。
 岡山協会は2月に実施した歯科医療機関でのマスク等実態調査を基に岡山県に要請。岡山県は、災害用備蓄のマスク約8万7,000枚を医療機関や福祉施設に配布する方針を示したところ申し込みが殺到した。
 三重協会は歯科会員調査を基に2月中旬に県に要請。県から備蓄マスクの提供を受けマスク不足を訴える歯科医院に配付した。

マスク・消毒用アルコールの供給不足に関する緊急アンケート
岐阜協会調査 2月26日実施

 岐阜協会は3月4日に緊急調査を基に岐阜県にマスクや消毒液の安定供給を要請。地元テレビや新聞各紙で報道された。
 茨城協会は3月5日にマスクの安定供給などで県に要請。3月9日に発表した県内医療機関のマスク調査結果はNHKや地元新聞などで報道された。
 山口協会は会員調査を基に3月10日に県に要請。同日、山口県は備蓄用マスク4万枚や消毒用エタノール500本を介護事業所などに配付することを決め、医療機関へは国と連携して対応するとした。要請は地元テレビ、新聞各紙が報道した。

 

マスク不足TVでコメント 京都協会

テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」で
マスク不足を訴える吉中氏

 3月4日に放映されたテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」で京都協会の吉中丈志理事(保団連理事)が取材を受けた。吉中氏は協会調査結果をもとに、医療現場で深刻化するマスク不足の現状を伝えた。
 同番組では、厚労省のコメントとして「医療機関向けのマスクは都道府県などの備蓄を使うのが基本」と紹介。出演者から「医療機関へ重点的に配るべき」などのコメントが相次いだ。これに対し、厚労省は公式ツイッターにて「2月28日にサージカルマスク約41万枚を14自治体、サージカルマスク約18.8万枚を68感染症指定医療機関に対して、まずは優先供給を行ったところです」「最終的に全ての医療機関に十分なマスクが届くことが必要であり、引き続き、マスクの増産や全ての医療機関を対象とした優先供給を進めてまいります」と反応した。
 京都協会は2月に会員調査を実施。京都府にマスク等の安定供給等を求めた。京都府は3月12日に医療機関向けにマスク50万枚を配布することを決めた。

 

休校措置スタッフ確保懸念 大阪協会

マスク・消毒用アルコールの供給不足に関する緊急アンケート
岐阜協会調査 2月26日実施

 3月27日に政府が全国の小中高の休校要請を行ったことを受け、大阪協会は休校措置に伴う医療機関の影響を調査した。全国に先駆けて休校措置を実施した北海道帯広の病院が2割の看護職員が欠勤し外来を縮小したことが報じられ、府内の病院からも懸念する声が寄せられていた。
 3月の看護職員の勤務予定について、33%の病院が「勤務日数が減少した」と回答。13%の病院で看護配置数が基準を下回る、10%が平均夜勤時間数の基準を下回ると回答した。休校措置に対して33%の病院が「院内保育所で対応」と回答した。「保育所や学童が休業となると間違いなく影響がでる」と長期化を懸念する声が目立った。「休校措置で3月の看護配置が足りないと4月からの新点数の届出に影響が出る」との懸念も出されている。
 協会・保団連は、4月改定後に看護職員が不足しても医療機関が減収とならないよう厚労省に緩和措置を求めていく。

 

マスク等確保、国も動き出す

 政府は3月10日に発表した緊急対応策(第二弾)で国内メーカーの増産と輸入拡大でマスク1500万枚を国が一括購入して確保の上、必要な医療機関には優先配布するとした。また、厚労省のマスク等物資対策班は13日に都道府県に対し各省庁備蓄分の約250万枚を必要な医療機関に優先配布することとした。
 政府がマスクの安定供給に向けて動き出したことはこの間の取り組みの成果である。しかし、1500万枚では、全国の約18万医療機関で必要な量をカバーしきれていない。保団連は、医科歯科すべての医療機関にマスクはじめ消毒液、ゴーグル、グローブなどの防護具を国の責任で確保することを引き続き強く求めていく。

 

全国で寄せられた声

【マスク不足】
▼必需品であるマスクの供給が止まると診療不能になるどころか2次感染も併発しかねない
▼第一線でリスクにさらされる医療担当者への流通をまず確保してほしい
▼院長がドラッグストアの列に並びマスクを購入した

【消毒液等不足】
▼マスクも大変だが消毒用エタノールの在庫も大変心配だ
▼エタノール、グローブ等必要なものが全て断られている

【休校措置】
▼小学校低学年の子どもを持つ歯科衛生士が欠勤した
▼国は休めと言うが医療が必要な人を誰が看護するのか
▼外来病棟の機能制限は避けられない

【PCR検査】
▼4日以上発熱があったが37.4度だったためPCR検査をしてもらえなかった
▼発熱咳があり肺炎と診断され保健所に相談したが検査は断られた

【診療継続】
▼自院患者でコロナ感染者が出たら濃厚接触と判断され診療休止を求められないか不安だ

以上