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7月豪雨 甚大な被害 被災地の現状報告

全国保険医新聞2020年7月25日号より)

 

 令和2年7月豪雨は各地で河川が氾濫し、家屋の浸水など甚大な被害をもたらした。熊本協会、福岡歯科協会は、被災会員を訪問し、被害状況を聞き取り、安否確認などを行った。被災地の現状を報告する。保団連は被災医療機関の復旧・復興のため、会員への募金呼び掛けとともに、国や自治体に支援や補償を求めている。

 

豪雨被災地を訪問して―熊本協会副会長・保団連理事 森永博史

1階が水没した医療機関の玄関横駐車場に
高額医療機器が雨ざらしになっていた

 7月4日未明からの豪雨被害で球磨川など河川が氾濫し、県内では7月17日までに死者は65人、行方不明2人、全半壊が571件、床上・床下浸水を合わせ8,134棟と甚大な被害を受けた。大きな被害を出した人吉市、球磨村などの医科・歯科医療機関も床上浸水し、建物や医療機器に重大な被害が生じた。7月9日、時折雨が降る中を人吉市中心部の被災医療機関を訪問した。
 人吉駅近くの市民の心の拠り所たる国宝「青井阿蘇神社」の拝殿も、床上十数センチまで浸水し、鳥居前の太鼓橋の赤い欄干は無残に落ち、見ごろを迎えていた両脇の蓮池には、流されてきた数台の車が横転していた。

 

一瞬で一階が水没

 浸水被害は最大で5〜6メートルに及び、医療機関も多くが1階天井近くまで浸水した。氾濫した球磨川の支流の山田川沿いにある外山胃腸病院の岐部明廣院長は、バックウオーターによる浸水で1階が150センチまで浸水し、多くの医療機器が被害を受けた。地区医師会長も務める岐部医師は、「エレベータードアの高さまで、あっという間に水が上がり、医療器材を運ぶ余裕もなかった」と一瞬で被害が拡大した当時の様子を語った。浸水で使用不能となったエコーや電子内視鏡、電動ベッドなどの高価な医療機器が外に出され、雨ざらしとなっており、虚しさがこみあげてきた。
 中心商店街は土地が一番低く浸水被害も甚大で壊滅的な状況であった。この地のY内科クリニックは、前日8日にようやく電気・ガス・水道が開通したが、ショートする可能性が高いとして、院内は真っ暗だった。協会から支援物資を渡し感謝された。床上70センチまで浸水したF耳鼻咽喉科クリニックの院長は、片付けをしながら、石膏ボードや断熱材も張替えが必要となり、業者から修繕に3カ月はかかると言われ、茫然とされていた。
 地区歯科医師会長の中原歯科医院の中原正弘院長も被災され、市内25歯科医療機関のうち約半数が被災、そのうち3〜4軒が被害甚大で、診療が全くできない状態と伺った。浸水が比較的軽微でも、紙カルテが流されたり、電子カルテの使用不能となった医療機関も多く、かかりつけの患者さんに対し「お薬手帳」持参の方のみ、処方しているところも多くあった。

 

突然の大きな被害に沈黙

 片付けで多忙な中、面会できた会員は、突然の浸水被害を受けて、沈黙を続ける方、被害の大きさにかえって冗談を話される方、手が震えている方もおられた。お見舞いの言葉をかけようもなく、協会が持参した支援物資、6月の保険診療の概算請求の資料などを渡し、全国に募金呼び掛けすることを案内し、少しでも元気を出してほしいという思いで帰路についた。豪雨で甚大な被害を被った医療機関の復旧復興に向けて、全国の皆さまの心からの募金をお願いしたい。

 

歯科会員を訪問・激励―福岡歯科協会副会長・保団連理事 杉山正隆

吉田院長(右)を訪問する保団連の杉山理事(左)と
寺本和哉福岡歯科協会副会長(中央)

 大雨の特別警報が4年連続で出た福岡県内でも、6日月曜昼過ぎから雨脚が強まり、大牟田市で2人が死亡、床上・床下浸水が約5,000棟、避難者は一時1,100人を越した。分かっているだけでも県内の50軒の歯科医療機関が床上・床下浸水やコンプレッサー等の器機が水に浸かるなど大きな被害が出た。11日土曜、被災した会員診療所を訪問し見舞った。
 大牟田市では降り始めからの雨量が955.5ミリに達し、年間雨量の約半分が数日間で降ったことになる。吉田歯科医院、吉田大蔵院長は診療室内の片付けに汗を流していた。ユニット(歯科診療台)など機械類の分解・清掃等は知人数人が手伝い、床板は外し乾燥させていた。
 「6日午後2時頃から雨が激しくなり、スタッフには早く帰宅してもらったが、一気に水が来て腰の高さぐらいまで浸かってしまった。カルテなど最重要のものだけ2階に上げるのが精一杯だった」と話した。
 吉田院長は「最大では1.6〜1.8メートルまで浸水した。46年間診療しており以前も水が出たことはあったが、こんなにひどいのは初めて。水が引くまで2日掛かった」。
 市内を流れる諏訪川は蛇行を繰り返しながら有明海に注ぐ。同地域はやや低い位置にあり、排水を担っていた三川ポンプ場が水没し、川に水を排出できなくなり諏訪川の南側が長時間、水に浸かったのだという。
 杉山理事と寺本和哉福岡県歯科協会副会長は「できる限り応援していきたい。いつでも協会に相談いただきたい」と激励。吉田院長は「泥水に浸かりもうダメかもと心が折れ掛けたが、多くの人にも助けられ、診療室はかなり片付いてきた。何とか近いうちに診療を再開したい」と笑顔で語った。
 大牟田市では20軒に何らかの被害があったとの声が寄せられたほか、久留米や福岡、飯塚、北九州市など県内の広い範囲の会員診療所や自宅等で、浸水や雨漏りが発生していることが分かった。
 災害列島日本。台風などによる豪雨や、東海・東南海・南海地震も想定されており、予期できない災害に襲われる懸念がある。

以上

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