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経験から学ぶ新型コロナ対策―研究・学術活動交流会を開催

全国保険医新聞2020年9月5日号より)

 

 7月12日、保団連研究・学術活動交流会が開催され、オンライン参加含め22協会から56人が参加した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する感染対策についての講演と討論が行われた。当日の概要を紹介する。

 

病院への事前連絡も感染対策

 まず、「感染症対策と開業医」と題し、倭正也氏(地方独立行政法人りんくう総合医療センター総合内科感染症内科部長兼感染症センター長兼感染対策室長)が講演した。
 倭氏が勤務するりんくう総合医療センター(388床)は関西国際空港の近隣に所在しているためほぼ満床状態にある。感染対策は、院内へ患者を入れるかどうかから始まる。患者が来ても、すぐに院内へ入れないように小窓で対応すること、救急車で運ばれてきた際も駐車場まで迎えに行き、状態を確認して動線を分ける等、他の患者との区別を徹底して院内へ受け入れているとのことだった。COVID-19に対する診療は、必ずしも陰圧室でなければならないものではなく、個室やパーテションで分けて対応することでも可能と話した。
 また、多くの外国人が張り紙を読めずに入ってくることがあるため、医療機関の入口の掲示物は多国語で用意しておく必要がある。PCR検査を実施したくても保健所とのやりとりが大変になる場合があるため、普段から保健所等の行政機関と親密にしておくこともポイントであると説明した。
 一般の診療所に対するお願いとして、事前の紹介や連絡も含めて感染対策となるので、病院に紹介する際はぜひ事前の連絡を行ってほしいと話した。

 

一般患者に紛れている可能性大

 倭氏はまた、COVID-19の最も怖い点は、COVID-19患者を診療したくなくても、熱などの諸症状がない患者が紛れて感染している点であるとした上で、むしろ、COVID-19疑い患者として徹底した感染対策を施した上で診療にあたった方が安全であると述べた。COVID-19の感染経路は、無症状の人から罹患した患者が5%、症状が出た患者の発病2日前から罹患した人が45%なので、約半数は無症状の人または発症前の患者から感染していることとなる。したがって、一般開業医であっても、一般患者に紛れてCOVID-19に罹患した無症状者を診療している可能性があることが怖いとした。また、COVID-19の感染は、発症前2日から発症後1週間は感染力がある。発症前から他人に感染させるので、診療中は患者にマスクをつけてもらいエアロゾル(飛沫感染)を防ぐことが重要だ。換気をしっかりすることも大事と強調した。
 高齢者では肺動脈血栓症をひきおこす病態になるため、経過をよく観察することが大事である。倭氏は、抗体検査は過度に信頼せずに他の検査機器なども含めて判断すべきと話した。

 

患者発生するも 院内感染起こさず

 午後は「病院における院内感染防止対策 市中感染で入院中の患者がCOVID-19と判明した経験から」と題し、長江浩幸氏(名古屋市・南生協病院院長)が報告した。
 肺炎球菌性肺炎として入院中の患者がCOVID-19と判明し、院内感染の発生が危惧されたものの、病院機能を一時停止、病院の入り口を閉鎖するなどの手段によって、ひとりも院内感染者を出さなかった経験や教訓を話した。
 院内感染が起きなかった理由として、院内要因としては、新型コロナに備え、感染管理チームが標準予防策を徹底させていた点、個室率が54%と多く、確定患者と疑い患者を迅速に個室管理できた点を挙げた。
 長江氏は、COVID-19を疑っていない患者が陽性者だったことが怖かったと話したが、全員が重症化するわけではないので、適度に恐れ、地域住民の暮らしを守りながら適切に対処することが大事だと結んだ。

 

開業歯科医院の 感染防止策

 つづいて、進武彦氏(佐賀協会、保団連研究部員)が「開業歯科医師の院内感染防止策」をテーマに報告した。
 歯科は、新型コロナウイルス以前から歯科医はHIVやB型肝炎の感染の危機と毎日闘ってきたと話された上で、標準予防策を遵守し、清潔域と不潔域を分離すること、感染管理の基本は洗浄であり滅菌よりも洗浄が重要であること、飛沫(エアロゾル)対策をしっかり行うこと、アルコールは有効だが期限や使用方法を守ること、滅菌を行う上での注意手順を守ることが大事だとして、今後も気を引き締めたいとされた。
(保団連研究部員 大阪協会内科部長 藤崎秀孝)

以上

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